- 2012.06.29
- 『世界の人事部(R)』Vol.38【2012年上半期 現地ニュース TOP3&下半期展望】
□■□――――――――――――――――――――――――――――――
― 中国・米国・日本の人事労務レポート ―
『世界の人事部(R)』
【Vol.38 2012.6.29】
――――――――――――――――――――――――――――――□■□
発信元:http://919.jp
こんにちは。『世界の人事部(R)』編集部です。
この6月、日本では株主総会のピークを迎えました。やはり今年は原発再
稼働問題や電力供給問題を抱える電力各社の総会に、株主ならずとも注目
が集まりました。
この株主総会ですが、それ自体は総務部主体で運営するという企業も多い
かと思います。ただ、人事部としても、そこで交わされた意見や提案をも
とに、組織やスタッフの今後の取り組みを考えることは、顧客満足とは違
う、株主満足という視点から会社の付加価値向上を目指すためには有益な
ことではないかと思います。
それでは、今月も情報満載でお届けしてまいります!
ぜひ、最後までご覧下さい。
□■CONTENTS□■─────────────────────────
【1】 今月の人事労務ニュース
【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第38回】『世界の人事の現場から』
【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
─────────────────────────────────
─────────────────────────────────
【1】 今月の人事労務ニュース
─────────────────────────────────
中国、アメリカ、日本国内の人事、労務、採用、育成などに関するニュー
スを見出し形式でご紹介。
より詳しい情報が知りたい方は、下記サイトまでアクセス!
<中国> 上海市人力資源社会保障局が、
2012年の上海市企業の昇給ガイドラインを通知
平均は12%も、企業の状況に応じて昇給水準決定の余地あり
<中国> 蘇州工業園区労働社会保障局によると、2012年6月1日より、
蘇州園区の月額・最低賃金基準は1,140元から1,370元へと上昇
この他にも、中国の最新人事情報を随時更新中!
アクセスはこちらから⇒http://www.919myts.com.cn/topics/
アメリカ国内の最新求人情報を随時更新中
アクセスはこちらから⇒http://www.919usa.com/
日本国内の最新人材業界ニュースを毎日更新中!
アクセスはこちらから⇒http://jinjibu.jp/GuestNewsTop.php
─────────────────────────────────
【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第38回】『世界の人事の現場から』
─────────────────────────────────
【第38回テーマ】
「現地人事コンサルタントが選ぶ
2012年上半期 現地ニュース TOP3&下半期展望」
------------------------------------------------------------------
◇編集部◇
2012年も早くも半年がたち、折り返しに入ろうとしています、この間の
日本の雇用情勢は、東日本大震災の影響が残るものの回復の兆しを見せ
ているといった状況です。こうした中、3月に労働者派遣法改正法が成
立し、かねてから人材派遣業界を脅かし続けてきた問題が一旦は決着し
ました。また、原発再稼働問題や消費税増税問題などが浮上したことを
考えると、これまでの日本の産業の在り方や消費活動、生活など、様々
なものを見直すきっかけとなった半年ではなかったと感じています。
一方、国外に目を向けるとギリシャの危機問題。EUやIMFによる金融支
援を受けることによる緊縮財政策の是非を問う再選挙の末、とりあえず
はユーロ離脱が回避されました。その意味では、ギリシャはもちろん、
ユーロ、世界経済も一つのターニングポイントを迎えたと言えそうです。
このような2012年上半期ですが、アメリカや中国にとってはどんな半年
だったのでしょうか。まずは、上半期を振り返ってみて、印象に残った
ニュースについてお願いします。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
まずは日本でも話題に上がっているかと思いますが、シェールガスに関
するニュースですね。日本の大手商社がペンシルベニア州での開発の権
益を取得するなど、シェールガス関連のニュースはこちらでもホットな
話題です。
このシェールガスの採掘は技術向上に伴って、大量に取り出すことが可
能になり、開発はますます活発になっています。2020年までに北アメリ
カの天然ガス生産量の半分はシェールガスになり、アメリカはロシアを
抜いて、世界最大の天然ガス産出国になるとも言われています。これに
より、家庭用天然ガスの価格の値下がりが予想されることから、ガソリ
ン高に苦しむ一般家庭には朗報となっています。
また、アメリカ金融大手のJPモルガン・チェースが、今年4月以降、デ
リバティブ(金融派生商品)取引で20億ドルもの損失を出したことも大
きなニュースでした。2008年のリーマン・ショック以降、金融市場が一
旦は地に堕ちた信用の回復を目指してきた中で起きたJPモルガンの評価
損問題は、比較的堅実な経営をしてきたとされる同社だからこそ、市場
に大きなインパクトと不安を与えました。
この問題を受け、アメリカでは、銀行による高リスクな取引などを制限
する金融規制改革法「ボルガ―・ルール」の厳格化に対する要求が再燃
しています。
◇編集部◇
冒頭でもお話ししましたが、この6月にはギリシャでも緊縮財政策の是
非を問う選挙が行われ、一つのターニングポイントを迎えました。同様
に、アメリカもまた11月に4年に1度の大統領選挙が行われる予定となっ
ており、こちらも一つのターニングポイントとなりそうですが、現地で
の注目度はいかがでしょうか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
最後に取り上げる大統領選挙の行方についてですが、現在、民主党のオ
バマ氏が高額所得者に相応の税負担を強いることで「公平な社会」を目
指す一方、「自由な社会」こそが強いアメリカの再生には必要と説く共
和党のロムニー氏の一騎打ちが展開されています。
国民の評価は、経済対応および雇用創出に関する期待度とも、両者の間
に大きな差はなく拮抗している状況です。とはいえ、裏を返せば、両党
ともに決め手に欠け、決定的な候補者とは言えないという状況であり、
現段階においては、国民にとって、新大統領への期待度は低いというこ
とは間違いないと言えそうです。この状況を11月の選挙までにいかに変
えることができるかが、両氏にとっての課題と言えるでしょう。
◇編集部◇
一方、中国では、この上半期を振り返って、どのようなニュースが特に
印象に残りましたか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
まず、昨年度末に制度化された「外国人社会保険加入強制」通知につい
ての細則が、各地で発布され始めたことを挙げたいと思います。
とはいえ、この細則発布のペース、想定されていたよりも遅いペースで
して、さらに地方による温度差も結構あるようです。中国という広大な
土地に、膨大な人口。その中で「外国人」という少数派への中国政府の
対応について、「外国人社会保険加入強制」問題というフィルターを通
して見てみると、中国全土での統一感は感じられなかったというのが正
直な印象です。それは、私たち日本人も含めた、少数派の問題に対して
そこまでパワーを割けないという、中国サイドの姿勢の表れではないか
とも感じます。
また、中国の経済成長が減速してきたことも上半期の大きなニュースと
言えるでしょう。
中国政府は3月に成長率目標を下方修正しましたが、実際の成長率も鈍
化してきているなど、中国も成長期「後期」を迎えています。背景には、
国内における人件費や原材料費の高騰、さらに消費国であるアメリカ、
ヨーロッパ、日本など先進国の不況があると考えられます。
いくら中国13億人の人口を活かして内需拡大を目指そうとしても、経済
成長に伴う所得の分配が行われていないため、低収入層が物価高に悲鳴
を上げているのが現実です。
一方で、今以上の人件費増は、外資系製造業にとっては死活問題となる
ため、アメリカ系、欧州系企業の4分の1近くは撤退を検討していると
さえ言われています。これに現在は円高のため、海外生産から手を引く
に引けない日系企業の脱・中国もこれから本格化するかもしれません。
外資系企業の撤退が続けば、雇用の総数が減少しますから、さらに物価
高についていけない層の拡大も予想されます。
◇編集部◇
これまで高成長を信じて疑ってこなかった中国国内市場が、これから迎
えるであろう低成長時代をどのように乗り切っていくのかは注目すべき
点ですね。
◆人事コンサルタント(中国)◆
3つめのニュースとしては、第4次投資ブームの到来です。
長引く円高、日本国内の不況の影響か、サービス業や中小企業の中国市
場への参入が活発化しています。一方で、これまでの企業が陥ってきた
失敗、例えば「日本式」に固執するなどの理由により事業が停滞し、結
局1~2年で撤退する企業も相次いでいるということも事実です。
こうした企業を見ていますと、決して成功している方法ではないものの、
中国での先輩企業や同業他社が行っているということを判断基準に投資
を行う企業がとても多いと感じています。日系企業にとっては、まだま
だ未知の部分が多い中国市場。だからこそ、失敗の本質をしっかりと見
極め、次に生かす姿勢は、日本にいる時以上に重要性を持っているので
はないでしょうか。
◇編集部◇
中国自体の成長率は鈍化傾向にあるわけですから、従来のような高度成
長をバックにした事業展開は難しいでしょうから、現地ではこれまで以
上に慎重に経営を進めていく必要がありそうですね。では、最後に両国
の下半期の展望などについてご意見をいただけますでしょうか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
アメリカでは、依然として失業率は高止まりしているものの、雇用情勢
は急ピッチで回復してきています。実際、4月1日から受け付けられた
外国人労働者に対する、今年のビザ枠85,000人分は2カ月半で上
限まで達しました。これは、例年にないスピードであり、裏を返せば、
それだけアメリカの雇用情勢が上向きになってきた証拠だと言えるでし
ょう。また、今年は前述の大統領選挙もありますから、景況面や雇用情
勢などは、このまま緩やかに上昇していくのではないかと思っています。
◆人事コンサルタント(中国)◆
現在、中国は先進国への階段を着実に上りつつあります。その流れの中
で人件費は高騰し、一方で法律の整備が進むことで、発展途上国ならで
はの「いい加減さ」もなくなってきています。
これについて、個人的には「企業として強くなくても大きくなれる」と
いう時代の終わりを意味していると考えています。高騰する人件費に耐
えうる強さ、法律を遵守して間違いのない経営を進めていける透明性。
こうした要件が伴わなければ企業として大きくなること、そして生き残
ることさえ難しくなってきているのが、今の中国社会です。ですから、
日本では既に当たり前となっている「売上ではなく利益」、「量よりも
質」、「安さよりも品質」といった先進国の価値観、それはつまり、か
つて中国で経験したことのない価値観を支持する人も、今後はどんどん
増えてくるでしょう。
その意味では、中国も今まさに時代の大きなターニングポイントを迎え
ています。そして、この下半期にも、賃金や物価の上昇、法制度などの
整備に伴い、先進国化に向けた動きは着実に進んでいくと思います。
─────────────────────────────────
【3】人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
─────────────────────────────────
日々、人事・労務問題で頭を抱えているご担当者様に朗報。
クイックグループなどが開催するセミナー・イベント情報をご紹介。
興味、関心の高いセミナーがございましたら、今すぐお申込を!
■7月11日(水)17:00~18:00
第18回新卒採用担当様向けの新たな情報収集・交換の場
【クイックラウンジ】『内定者フォロー』
◇会場 株式会社クイック セミナールーム
東京都港区赤坂1-9-20 第16 興和ビル北館8F
(銀座線・南北線「溜池山王」駅A9 出口より徒歩5分)
◇参加料 無料(コーヒー、お菓子をご用意してお待ちしています)
◇対象 新卒採用の新任ご担当者様
◇定員 5名
詳細は、
セミナー事務局(TEL:03-5573-9191 E-mail:seminar@919.jp)まで
■7月26日(木)10:00~12:00(受付:9:30~)
『第1回中国・アジア進出支援機構セミナー』
~日系進出企業の中国リスク回避方法~
◇会場 株式会社クイック セミナールーム
東京都港区赤坂2-11-7 ATT新館6F
◇参加料 5,000円/名
◇講師 池田 博義(マイツグループCEO/公認会計士・税理士)
◇対象 管理職、経営者・経営幹部等の方々
◇定員 50名
◇協賛 株式会社クイック
お問い合わせは、
株式会社マイツ(TEL:03-5549-2021 E-mail:info@myts.co.jp)まで
■7月26日(木)14:00~17:00
『グローバル人材セミナー』
~海外を生き抜く「術」を知る
「海外(中国・アジア)進出における赴任人材の選定と育成」~
◇会場 株式会社クイック セミナールーム
東京都港区赤坂2-11-7 ATT新館6F
◇参加料 5,000円/名
◇講師 谷 公爾(上海邁伊茲咨詢有限公司シニアコンサルタント)
◇対象 管理職、経営者・経営幹部等の方々
◇定員 50名
◇協賛 株式会社クイック
お問い合わせは、
株式会社マイツ(TEL:03-5549-2021 E-mail:info@myts.co.jp)まで
■8月7日(火)13:00 ~ 15:00
■9月12日(水)13:00~15:00
『人事相談会』
~人事のお悩み、なんでもお答えします~
◇内容 人材育成体系、人事制度、組織構築と運用
コンプライアンス(パワハラ・セクハラ)
メンタルヘルス、採用、労務全般、など。
◇会場 株式会社クイック セミナールーム
東京都港区赤坂1-9-20 第16 興和ビル北館8F
(銀座線・南北線「溜池山王」駅A9 出口より徒歩5分)
◇参加料 無料
◇講師 ヒューマンキャピタル総合研究所 所長 乾 孔二
◇対象 経営者、人事の方
◇定員 5社
詳細は、http://happy.919.jp/documents/jinjisoudannkai.pdfまたは
セミナー事務局(TEL:03-5573-9191 E-mail:seminar@919.jp)まで
■9月6日(木)10:00~17:00
新入社員の悩みを一気に解決!
『新入社員フォローアップ研修~コミュニケーション編~』
◇内容 入社して、半年。新入社員たちは悩んでいます。
そんな新入社員へたちの不安を解消!
自分自身の甘えや改善点が明確にし、
自分の立場を理解し、相手の気持ちを理解した
コミュニケーションに変化する方法などをお教えします。
◇会場 株式会社クイック セミナールーム
東京都港区赤坂1-9-20 第16 興和ビル北館8F
(銀座線・南北線「溜池山王」駅A9 出口より徒歩5分)
◇参加料 25,000円(1名様)
詳細は、http://happy.919.jp/documents/shinnyusyainn120906.pdf または
セミナー事務局(TEL:03-5573-9191 E-mail:seminar@919.jp)まで
─────────────────────────────────
【メールの表示について】
このメールは等幅フォントを使用し、横幅全角35文字以上の設定で
正しく表示されるように作成しております。
また、本メールマガジンより生じる損害・トラブルにつきましては
一切の責任を負いません。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
□発行元 株式会社クイック『世界の人事部(R)』編集部
■URL http://919.jp
□ご意見・お問い合わせ info-koho@919.jp
掲載された記事・情報を許可なく転載することを固く禁じます。
Copyright(C)2012 QUICK CO., LTD. All rights reserved
このメールマガジンは『まぐまぐ!』http://www.mag2.com/を
利用して発行しています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――