- 2013.07.31
- 『世界の人事部(R)』Vol.51【海外の人材派遣事情 ―中国編―】
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― 中国・米国・日本の人事労務レポート ―
『世界の人事部(R)』
【Vol.51 2013.7.31】
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発信元:http://919.jp
先日の参議院選挙は、昨年の衆議院選挙に続いて自民党が圧勝しました。
今回の圧勝は、政権交代以降の経済政策「アベノミクス」が、
多くの国民の支持を得た結果と言えますが、「アベノミクス」による
景気回復を実感しているのは一部の大企業で、中小企業や地方にまでは
及んでいないという声が多いことも事実。「ねじれ国会」が解消し、
決める政治が可能となった今、現政権には、改めて日本全体の経済再生に
むけて、さらなる取り組みを期待したいものです。
それでは、今月も情報満載でお届けしてまいります!
ぜひ、最後までご覧下さい。
◇◆CONTENTS◇◆-------------------------
【1】 今月の人事労務ニュース
【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第51回】『世界の人事の現場から』
【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
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【1】 今月の人事労務ニュース
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中国、アメリカ、日本国内の人事、労務、採用、育成などに関する
ニュースを見出し形式でご紹介。
より詳しい情報が知りたい方は、下記サイトまでアクセス!
<中国> 上海統計局「2013年上海市大学・専門学校の新卒就職状況調査」
によると、新卒生の約4割が未だ未就職とのこと
<中国> 新華視点によると、
中国国内で約2億人が養老保険未加入のままとのこと
<中国> 上海クイックマイツ有限公司が、最新の法改正内容を網羅した
「上海市 人事・労務の法知識2013」の発行を決定
「上海市 人事・労務の法知識2013」概要
http://www.919myts.com.cn/hotnews.aspx?ID=1302
この他にも、中国の最新人事情報を随時更新中!
アクセスはこちらから⇒
http://www.919myts.com.cn/Community.aspx?ID=1125,1213
アメリカの最新求人情報を随時更新中
アクセスはこちらから⇒http://www.919usa.com/
ベトナムの最新求人情報を随時更新中
アクセスはこちらから⇒http://919vn.com/
日本国内の最新人材業界ニュースを毎日更新中!
アクセスはこちらから⇒http://jinjibu.jp/GuestNewsTop.php
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【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第51回】『世界の人事の現場から』
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【第51回テーマ】
「2013年版 海外の人材派遣事情 ―中国編―」
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◇編集部◇
昨年10月、日本では労働者派遣法が改正され、日雇い派遣の原則禁止等
の事業規制強化に加え、マージン率の情報公開義務化をはじめとする
派遣労働者の待遇改善等が求められるようになりました。
この労働者派遣法改正の影響もあり、日本の派遣社員の実稼働者数は
いまだ前年割れの傾向が続いているとのことで、景気は回復基調にある
とは言うものの、人材派遣業界は依然として厳しい環境に立たされて
いると言えるでしょう。
日本の人材派遣業界がこのような苦境に立たされている中、
海外の人材派遣市場はどのような状況となっているのでしょうか。
今回は、中国の人材派遣市場に注目して話をうかがってみたいと思います。
◆人事コンサルタント(中国)◆
現在、中国の人材派遣業界、こちらで言うところの労務派遣業界は
存続が不安視される程、非常に厳しい状況となっています。
そして、この要因として最も大きいと考えられているのが、
昨年末に公布され、この7月1日より施行された「改正労働契約法」です。
◇編集部◇
この「改正労働契約法」につきまして、改正のポイントや施行に伴う
労務派遣業界や市場等への影響についてお話いただけますか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
改正のポイントは大きく分けて、次の4点が挙げられるかと思います。
(1)労務派遣会社の営業条件の厳格化
(2)同一労働同一賃金の徹底
(3)労務派遣の対象職種の明確化及び使用の制限
(4)罰則規定の強化
特に、(1)労務派遣会社の営業条件の厳格化については、
登録資本金が以前の50万元の4倍となる200万元以上へと上昇したほか、
固定の経営場所と施設を有することを義務付ける等の条件が新たに加わる等、
労務派遣会社にとってのハードルが一気に高くなりました。
また、(3)労務派遣の対象職種の明確化及び使用の制限について、
以前の「労働契約法」でも労務派遣の活用条件として三性、
つまり臨時的、補助的、代替的な業務についてと定められていたのですが、
実際のところ、各々の内容があいまいで有名無実化していました。
そこで今回の改正では、三性の内容が次のように具体的に定義されました。
■臨時的 勤続期間が6ヵ月以上ではないポジション
■補助的 主要業務を補助するための非主要業務
■代替的 派遣先企業の従業員が学習、休暇等の原因で職場から離れている
一定期間内について、代わりに行う業務
三性の内容が明確化されたことで、実際に労務派遣を活用している
日系企業の中にも、直接雇用への切り替えを余儀なくされたところがあるようです。
とはいえ、そもそも今回の法改正には、本来限定的な使用を前提としていた
労務派遣という雇用形態が、正規雇用を避けるための抜け道として活用されている
現状を改める狙いがありましたから、当然の流れと言えるでしょう。
そのため、労働契約書や就業規則の整備、直接雇用へ切り替え後の労務管理等、
新たな負担に頭を悩ませている企業も多いようです。
◇編集部◇
今回の法改正を受けて、実際に日系企業の人事ご担当者からの相談も
多いと思うのですが、どのような内容のものが多いのでしょうか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
これまで、なるべく直接雇用を行わず、主に労務派遣を活用でしてきた
企業からは、先述の労働契約書や就業規則等の社内規定が未整備の場合が
多く、社内制度の見直しについての相談が増えてきていますね。
また、直接雇用への切り替えに伴う経済補償金の請求リスクについての
相談も、最近は増えてきました。
というのも、間接雇用(労務派遣)から直接雇用(正規雇用)に
切り替える際には、まず直接雇用に切り替えたいスタッフについて、
派遣会社との間で締結されている労働契約を解除してもらい、
新たに労働契約を締結しなおす必要があります。
そして、この労働契約の解除については派遣会社側の都合であるため、
派遣会社はスタッフに対して経済補償金を支払わなければなりません。
とはいえ、元を辿れば、この労働契約の解除は派遣先企業の意向によるもの。
そう考えれば、派遣会社がスタッフへ支払う経済補償金について、
派遣先企業へ請求することは、確かに当然と言えますからね。
◇編集部◇
今回の法改正を機に、中国でも労務派遣を取り巻く環境が大きく変化
しているようですが、こうした中でも企業側が労務派遣を活用する
メリットは、どのような点にあるのでしょうか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
やはり労務紛争のリスクが抑えられるという点が最大のメリットでしょう。
中国では、同一スタッフと有期労働契約を2度締結すると、
3度目の契約時には本人が有期契約を希望しない限り、
無期限の労働契約を締結する必要があります。
しかし、労務派遣であれば労働契約を結んでいるのはスタッフと派遣会社
ですから、派遣を活用する企業には無期限契約のスタッフを抱え込むリスク、
そして3度目の契約を締結しないことに対する、スタッフからの訴訟等の
リスクを回避できます。確かに、派遣スタッフは会社に対する帰属意識が
薄くなるというデメリットもありますが、労務派遣を活用する企業側にとって
労務紛争や訴訟リスクの回避は、それを補って余りあるメリットなのでしょう。
◇編集部◇
日本でも、改正後の労働者派遣法では、雇用期間が通算1年以上となる
有期雇用の派遣労働者について、無期雇用への転換推進の努力義務化が
盛り込まれています。無期雇用の推進という点では、日中双方のスタンスは
近いものがあるかもしれません。こうした中、中国ではどのような業界、
職種で労務派遣が積極的に活用されているのでしょうか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
労務派遣が活用されている分野ついては、工場のワーカーからホワイトカラーの
専門職に至るまで非常に多岐に渡っています。また、国営企業や学校においても、
既存の正規雇用スタッフや教師に高い賃金や待遇を維持する一方で、
新たに労働力が必要な際は、賃金や福利厚生等の抑制が可能な派遣スタッフを
活用しており、同じ職場内でも待遇面での歪みが生じているケースが
多々あるようです。今回の労務派遣規制も、こうした国営企業等の
利益最優先的な労務派遣活用が原因の一つと言われています。
今後の労務派遣市場については、今回の「改正労働契約法」施行の
影響により縮小する可能性が高いと思いますが、これに代わるものとして
業務請負へのニーズが拡大してくるのではないかと考えています。
ただ、業務請負に関しては法整備が進んでいたいためグレーゾーンも多く、
注文主と請負業者、労働者との間で生じる紛争リスクも高いと思われます。
当面は、企業側としても正規雇用に伴うコスト上昇との兼ね合いを考えながら、
正規雇用と業務請負のどちらかを選択するでしょうが、
法整備が遅れるようであれば、再び労務派遣を選択する企業が増加する
という可能性もあるでしょう。
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