- 2013.08.30
- 『世界の人事部(R)』Vol.52【海外の人材派遣事情 ―アメリカ編―】
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― 中国・米国・日本の人事労務レポート ―
『世界の人事部(R)』
【Vol.52 2013.8.30】
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発信元:http://sekai-jinjibu.com/
こんにちは。『世界の人事部(R)』編集部です。
今月の連載記事のテーマは、先月に引き続き「海外の人材派遣事情」。
そんな中、日本国内でも人材派遣に関する大きなニュースがありました。
厚生労働省の研究会が、これまでは業務内容によって区分されていた
派遣期間について、派遣元との雇用関係によって区分されるように
すべきという改革案を盛り込んだ報告書を決定したとのこと。
今回の案については、同じ派遣会社の中でも賛否両論の声があがっている他、
これまで無期限で同じ派遣社員を活用することができた業界、
さらには現在正社員の人たちからも自分たちの雇用が派遣社員に取って
代わられる可能性があるとして不安の声があがっているようです。
今後は労働政策審議会で制度を設計した上で、来年の通常国会に
改正労働者派遣法案を提出するとのことですから、
今後どのような動きがあるのか、注目していきたいと思います。
それでは、今月も情報満載でお届けしてまいります!
ぜひ、最後までご覧下さい。
□■CONTENTS□■-------------------------
【1】 今月の人事労務ニュース
【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第52回】『世界の人事の現場から』
【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
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【1】 今月の人事労務ニュース
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中国、アメリカ、日本国内の人事、労務、採用、育成などに関する
ニュースを見出し形式でご紹介。
より詳しい情報が知りたい方は、下記サイトまでアクセス!
<グローバル> クイックが、「世界の人事部(R)」サイトをオープン
http://www.sekai-jinjibu.com/
<中国> 上海クイックマイツ有限公司が、
「給与調査2014」の発行を決定
現地日系企業各社に給与データのご提供を依頼中
<中国> 「労務派遣若干規程(草案)」によると、
補助性職位として勤務している派遣従業員数は
全従業員数の10%を超えてはならないとのこと
この他にも、中国の最新人事情報を随時更新中!
アクセスはこちらから⇒
http://www.919myts.com.cn/Community.aspx?ID=1125,1213
アメリカの最新求人情報を随時更新中
アクセスはこちらから⇒http://www.919usa.com/
ベトナムの最新求人情報を随時更新中
アクセスはこちらから⇒http://919vn.com/
日本国内の最新人材業界ニュースを毎日更新中!
アクセスはこちらから⇒http://jinjibu.jp/GuestNewsTop.php
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【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第52回】『世界の人事の現場から』
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【第52回テーマ】
「海外の人材派遣事情 ―アメリカ編―」
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◇編集部◇
今月も、先月に引き続いて現地の人材派遣事情がテーマです。
先月は中国の人材派遣業界についてうかがいましたが、今回はアメリカです。
現在、中国の人材派遣業界が厳しい状況に直面している一方で、
アメリカの人材派遣市場はどのような状況となっているのでしょうか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
現在、アメリカの人材派遣業界は、景気回復を背景に拡大基調にあると
言えるでしょう。実際、現場の私たちの実感としても、この1~2年、
人材派遣マーケットは着実に伸長してきている状況です。
◇編集部◇
では、このように現地で人材派遣サービスを活用する企業は、
どのような部分に人材派遣のメリットを感じているのでしょうか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
前回のメルマガにもあったように、日本では派遣会社に対して派遣労働
者の無期雇用への転換推進の努力義務があったり、中国でも3度目の
有期労働契約の際には無期限の労働契約の必要性があるようですが、
アメリカでは、労使とも、あくまでも人材派遣は「人手不足の際の
一時的な雇用」という共通認識が根付いていると思います。
とはいえ、アメリカの人材派遣マーケットは、就業者に占める派遣
スタッフの割合が2%にも満たないことからも分かるように、決して
大きな市場ではありません。その意味では、人材派遣サービス自体が
一般的に浸透しているかと言われると、まだまだこれからの状況と
言わざるを得ません。しかし、一時的に大量の人材が必要になるケース
等においては失業保険料を抑えられる点や採用コストを削減できる点は
大きなメリットになっています。
さらに、日系企業にとって、これら以外にも人材派遣を活用することの
メリットはいくつかあります。例えば、多くの日系企業では正社員の
採用は日本の本社の決裁が必要である一方、派遣社員の採用であれば
現地決裁でOKというケースが多く、スピーディーにマンパワーを確保
したい際には人材派遣を活用する企業は数多くあります。
また、スタッフの給与計算、各種税金や保険計算の手間や経費が削減
できる点も人材派遣活用のメリットと言えます。特に現地日系企業の中には
営業強化にシフトするあまり、管理部門が脆弱なケースがありますが、
この点については、限られた資産や人材で事業を進めなければならない
日系企業だからこそ享受できるメリットかもしれませんね。
◇編集部◇
確かに、スタッフ採用に関する決裁権をはじめ、様々な制約の中で
結果を出していかなければならない現地日系企業にとって、
人材派遣は付加価値の高いサービスと言えそうですね。
こうした中、アメリカにおいては、どのような分野で人材派遣が多く
活用されているのでしょうか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
ちょっと古くなるのですが、2005年のアメリカ労働統計局の資料によると、
派遣スタッフの職種の割合は、生産・輸送・運搬職が全体の30.1%、
事務・管理サポート職が24.8%、販売・サービス職が17.7%となっていました。
事故や病気が発生しやすい職場や入退社の多い職場、学歴やスキルを
必要としない職種でのニーズが全体の70%を超えているという状況でした。
個人的な体感値で恐縮ではありますが、最近になって、この業界地図が
一変したという実感はありません。多少のパーセンテージの動きがあるものの、
派遣スタッフの職種に関する割合は、現在もほぼ2005年と同様ではないかと考えます。
その一方で、最近は、特定の業界や職種を得意分野とする派遣会社が
増えてきました。
例えば、こちらにスイス航空関連のスイスポートという派遣会社がある
のですが、この会社は各航空会社のチェックインカウンター、荷物検査、
荷物の積み下ろし業務をはじめとする空港関連のスタッフ派遣について、
アメリカ国内のシェアのほとんどを握っています。同社の例は極端だと
しても、倉庫スタッフ専門の派遣会社やIT、医療関係専門の派遣会社等、
様々な分野で専門性の高さを売りにした派遣会社が増えてきています。
◇編集部◇
こうした特定分野における専門性の高さを特徴とする派遣会社が増えて
きた理由としては、どのようなことが考えられますか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
派遣スタッフを活用する企業側に関して言えば、専門性の高い人材を
必要最低限のコストで活用できる点に大きなメリットを感じているため、
こうした派遣会社を活用していると言えます。そして、そのニーズが
あるからこそ、特定分野の人材派遣に特化した派遣会社が増えてきた
要因とも言えます。
例えば、先程の空港関連業務について、人員不足のため各航空会社が
自社でスタッフを採用しようと考えたとします。しかし、空港関連業務
については安全確保の側面から保安基準が厳しく、採用する人材の
バックグランドチェックや雇用主となる航空会社の審査等、事前の複雑
な手続きが数多くあります。さらに、採用後も給与計算等の業務が
加わります。しかし、派遣スタッフを活用することで、これらが軽減
されます。さらに、正社員と違い派遣社員は必要な時間だけ活用すれば
良いので、自社で正社員を採用するよりもコスト面の抑制が可能です。
例えば、日本航空のニューヨーク便は毎日1便です。日本から来た飛行機が
午前11時15分にニューヨークへ到着し、午後1時25分には日本に向けて
飛び立ちます。事前準備等を含めたとしても、コアな就業時間はおおよそ
5時間程度と見積もって良いでしょう。しかも、同社のようなデイリー便
であればまだしも、週2便や3便というエアラインでは、正社員を数多く
抱えることは大きな負担になります。先程のスイスポート社は、こうした
各航空会社のニーズを上手くつかんで現在の地位を築いたと言えるでしょうし、
特定分野に特化している派遣会社についても同様に、専門性とコスト面の
双方から派遣先企業へメリットを提供しているのでしょう。
◇編集部◇
では、最後に今後のアメリカの人材派遣市場の見通しについてご意見を
お聞かせいただけますでしょうか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
オバマケア(国民会保険制度)の企業負担の施行が2015年の予定となって
います。施行が実現した際には、管理部門の負担を下げるために一時的に
派遣市場は増えるかもしれません。しかし、長期的にみれば派遣市場は
大きな増減はなく、安定して推移していくのではないでしょうか。
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