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2014.07.31
『世界の人事部(R)』Vol.63【アメリカ・中国企業における、ホワイトカラー・エグゼンプションの現状とは?】
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            ─ 中国・米国・日本の人事労務レポート ─
                  『世界の人事部(R)』
                                 【Vol.63 2014.7.31】
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  発信元:http://sekai-jinjibu.com/
 
  こんにちは。『世界の人事部(R)』編集部です。
 
 先週、中国の食品加工会社の工場で、賞味期限切れの肉を使用していたことが
明るみに出て、問題になりましたね。過去にも冷凍ギョーザ事件や某食品工場の
冷凍食品の農薬混入の事件がありましたが、今回の事件で大きく異なるところは、
個人ではなく企業ぐるみで違法生産活動を行っていたことです。この商品を販売
していた日本側の企業は、現地の取引先が製造していたことであり、販売側であ
る自分たちに責任はないという主張を行っています。
ただ、そこで問題を片付けてしまうのではなく、何が問題でどこにリスクがあり、
こうしたことが起こって
しまったかを検証しなければ、本質的な解決にならないでしょう。今回の経験を
いかにして今後のリスク管
理に活かせるか。そのためには、たとえ提携先が起こした問題であったとしても、
被害者意識よりも当事者意識をもって対応に当たることが大切なのではないでし
ょうか。
 
それでは、今月も情報満載でお届けしてまいります!
ぜひ、最後までご覧下さい。
 
 
□■CONTENTS□■ ────────────────────────────────────────
 
 【1】 今月の人事労務ニュース
 
 【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
     【連載:第63回】『世界の人事の現場から』
 
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 【1】 今月の人事労務ニュース
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 【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
       【連載:第63回】『世界の人事の現場から』
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 【第63回テーマ】
 「アメリカ・中国企業における、ホワイトカラー・エグゼンプションの現状とは?」
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 ◇編集部◇
 今回のテーマは、アメリカ・中国企業における、ホワイトカラー・エグゼンプ
 ションの現状について取り上げたいと思います。
 
 先日、安部内閣は、成長戦略第3弾「日本再興戦略改定版」を閣議決定しました。
 この中には、労働時間規制緩和の一環として話題の「ホワイトカラー・エグゼ
 ンプション」の導入も含まれています。これは年収1000万円等の要件を満たし
 た人を対象に、働いた時間に関係なく成果に対して賃金を支払うというもので
 す。導入のメリットとして、長期休暇を取りやすくなるなど柔軟な働き方の拡
 大が期待される半面、企
 業が残業代を支払わなくてよくなるため「長時間労働を誘発する」と反発の声
 が多方面からあがっているのが現状です。思えば、2006年にもエグゼンプショ
 ン法案は導入を試み、残業代の問題で各所から反対意見が多く、実現すること
 はありませんでした。
 
 日本では、職務の範囲が「明確で高度な職業能力を有する」「年収要件1000万
 円以上」などの条件で対象者が決められているようですが、アメリカ・中国に
 は、そうした制度があるのか。また、どのような方々がその対象になるのでし
 ょうか。
 
 ◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
 アメリカでは確か、50年以上前にExempt(以下、エグゼンプト)制度がスター
 としたのではなかったかと記憶しています。元々は、農業や漁業従事者など、
 時間での区切りが不明瞭な職種を対象にしたのが始まりだったかと思います。
 そして、このエグゼンプトに該当するかどうかは、以下のように職種や役職・
 職務権限などの面で細かな規定があります。
 
 1.Executive(管理者)
  *二人以上の部下のマネージメントをしている。
  *部下の採用、解雇、昇給、昇進、勤務条件などの人事決定権を持っている。
 
 2.Administrative(経営に直接関係する事務職)
  *経営に直接関係し、主業務上の重要な決定権を持つ。
 
 3.Professional(特別技能職)
  *会計士、コンピュータプログラマー、社外営業職などの職種が該当します。
 
 また、給与面について、日本では年収1000万円以上の方が対象になるようです
 が、アメリカでもエグゼンプト社員の最低賃金が決められています。週給455ド
 ル以上、年収では23,660ドル以上ですから240万円程度です。エグゼンプトは残
 業代を払わなくて良いと思われていますが、そもそも彼らの給与体系は成果給
 (最低保障給与あり)ですから、勤務時間そして残業という概念がないと考え
 てよいでしょう。ですから、早く帰ろうが遅く来ようが、一週間に一時間でも
 出社すれば、週給はフルに支払わねばなりません。もちろん、成果給ですから、
 雇用する側としては、本人に求める目標・成果の明確化が必要になりますね。
 
 ◆人事コンサルタント(中国)◆
 言い方は異なりますが、中国では、「不定時労働時間制」というホワイトカラ
 ー・エグゼンプションに似ている制度があります。これは、1日8時間、週40時
 間労働という標準的な労働制度で働く事が難しい職種については、労働時間を
 制限されない働き方を認める制度です。アメリカとは異なり、年収や役職によ
 る制限は無く、以下のように主に職種によって制限されています。
 
 1.会社の高級管理職、外勤従業員、営業従業員、一部の当直従業員等標準労
   働時間で計れない従業員
 
 2.長距離運送従業員、タクシー運転手および鉄道、港湾、倉庫等の積み下ろ
   しに従事する従業員および仕事が特殊で、随時働く必要がある従業員
 
 3.その他、生産、業種上の要求又は職責により不定時労働時間労働時間制に
   適する従業員
 
 なお、この制度を採用するためには、監督官庁に申請して、許可をもらう必要
 があります。
 
 ◇編集部◇
 この制度を導入する際に気をつけること等があれば教えください。
 
 ◆人事コンサルタント(中国)◆
 法定祝祭日以外の休日出勤や平日残業について、残業代が発生しなくなるので、
 適用される従業員から不満が出ることがよくあります。そこで、導入後の従業
 員に対する適切な休憩休暇の配慮と健康管理や、収入の減少への配慮について、
 十分に説明を行って、従業員に納得してもらうことがスムーズに制度をスター
 トするためのポイントになるかと考えます。
 
 ◇編集部◇
 また、運用する上で配慮すべき点はありますか?
 
 ◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
 「リスク」という視点で考えると、雇用者側がエグゼンプトと判断していたの
 に、数年後に社員から、自身の職務はエグゼンプトではないと訴えられる事で
 す。エグゼンプトの雇用としていたため、タイムカードも存在していませんの
 で、「長時間残業していた。」と言われても否定する証拠がない、という事態
 も発生してしまいます。また、残業代は1.5倍の給与を支払うので莫大な金額
 になります。その職種がエグゼンプトか否かは雇用側で決めるのではなく、労
 働局が定める基準によります。雇用開始時の職務内容書には、職務内容と共に
 そのポジションがエグゼンプトか否かを明記し、本人が理解した上で、サイン
 してもらうことが重要ですね。そうすれば、このような事態に発展することは
 少なくなるでしょう。
 
 ◆人事コンサルタント(中国)◆
 労働時間の概念が無くなりますので、時間の管理が課題になります。遅刻・早
 退・無断欠勤などの問題が生じる恐れがありますので、あらかじめ社内規則を
 整備して、対応できるようにしておきたいですね。
 
 ◇編集部◇
 この制度に感じるメリットを教えてください。
 
 ◆人事コンサルタント(中国)◆
 やはり、最大のメリットは残業代の支払いを抑制できることですね。 中国の
 ように、賃金の上昇が著しい国では、この様な制度を導入する必要性は高まっ
 ていると感じていますし、実際に、不定時労働時間制ではないですが、企業に
 よっては独自にメリハリのある賃金制度を導入する動きもあります。今後、人
 件費の上昇等に悩む現地日系企業が導入するケースも増えてくるかもしれませ
 んので注目していきたいですね。
 
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