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2016.07.31
『世界の人事部(R)』Vol.87【採用時のバックグラウンドチェックとは?アメリカ編 】

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            ─ 中国・米国・日本の人事労務レポート ─
                  『世界の人事部(R)』
                                  【Vol.87 2016.7.31】
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  発信元:http://sekai-jinjibu.com/
 こんにちは。『世界の人事部(R)』編集部です。

 早いもので、来週からリオオリンピックが開幕しますね。
  日本選手の活躍に期待が集まっています。
  とはいえ、今年は出場選手の紹介や各種目の展望といった私たちの期待を膨ら
  せるような報道よりも、ロシア選手団のドーピング問題から現地のオリンピック
 への反対運動、選手村の設備不良などトラブルに関する報道の方がが多いように
 見えますね。
  こういった話を聞くと、突発的な出来事ももちろん発生するとは思うのですが、
 せめて事前の準備や対策で回避できたこともあったのではないかと、計画的な準
 備や対応の大切さを感じます。
  今回のリオオリンピックの反省や改善点などを踏まえて、ぜひ東京オリンピック
 に活かしてほしいものですね。

 それでは、今月も情報満載でお届けしてまいります!
 ぜひ、最後までご覧下さい。


□■CONTENTS□■ ───────────────────────────────────────


 【1】 今月の人事労務ニュース

 【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
     【連載:第87回】『世界の人事の現場から』

 【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報


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【1】 今月の人事労務ニュース
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中国、アメリカ、日本国内の人事、労務、採用、育成などに関するニュースを
見出し形式でご紹介。

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 【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
       【連載:第87回】『世界の人事の現場から』

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 【第87回テーマ】
「テーマ:採用時のバックグラウンドチェックとは?アメリカ編」
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◇編集部◇
 日本ではあまり馴染みのないバックグラウンドチェック、いわゆる身辺調査のこと
 ですが、海外では多くの会社で雇用前に採用予定者のバックグラウンドチェックを
 行っているといわれています。
 そこで、海外の人材採用現場では一般的なバックグラウンドチェックにスポット、
 中でも今回はアメリカでの現状に当てたいと思います。
 アメリカではどれくらいの企業でバックグラウンドチェックは行われているのでし
 ょうか。

◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
 2012年のSHRM(Society of Human Resource Management:全米人的資源
 管理者協会)の会員調査では、69%の人事管理担当者が新規採用時に何らかのバッ
 クグランドチェックを行っているという回答があったということですので、アメリ
 カの企業の70%はバックグランドチェックを行っていると言えます。

◇編集部◇
 これらの企業はどうして、新規採用者のバックグラウンドチェックを行っているの
 でしょうか。

◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
 企業が何の調査もせず、過去に犯罪を犯して有罪判決を受けた人間を採用し、その
 人が再び犯罪を犯し、それが職務中であった場合には、企業も訴えられてしまうケ
 ースがあるからです。結果、訴訟で負けたり、和解になったりすれば多額の賠償金
 支払いが命ぜられることになります。そのような状況は 「Negligent Hiring」と
 呼ばれ、アメリカでは過失採用だと考えられています。企業の過失を問われないよ
 うにするために、バックグランドチェックが必須なのだといえる所以です。

◇編集部◇
 バックグラウンドチェックの調査項目にはどのようなものがあるのでしょうか。
 また、それらの項目について、どの程度まで調べるものなのでしょうか。

◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
 バックグランドチェックは細かく見れば恐らく数百種類もの調査項目があります。
 ですが、採用で使われるバックグランドチェックは、SSN(Social Security Number
 : 社会保障番号)調査、犯罪歴調査(連邦ベースと各州
 ベース)、職務関係によってはクレジット歴調査や運転歴調査、さらに学歴調査な
 どが一般的です。
 この中で、犯罪については過去7年前まで遡ることが出来ます。原則、それ以上は
 遡れないことになっているのですが、いくつかの例外があり、教育関係者、福祉関
 係者、医療関係者、集合住宅管理者は無期限で遡ることを義務付けられています。
 また、運転歴は過去3年までしか遡れない等、項目ごとに期限が定められています。

◇編集部◇
 一般的に、バックグラウンドチェックはどうのように行うものなのでしょうか

◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
 バックグランドチェックは一種のビックデータサービスで、とても普通の企業がで
 きるものではありませんので、専門の外部のバックグランド調査会社に依頼をして
 チェックを行います。
 ちなみに、アメリカの逮捕歴を含む犯罪歴や破産歴などは基本的にすべてPublic
 Information、つまり公に公開されています。日本ではそれは非公開になっていま
 すので、そこに大きな違いがあります。犯罪歴や破産歴などは、すべて裁判所が記
 録を持っていて、各カウンティ(County; 郡)にそれぞれひとつずつある裁判所か
 ら情報を全部吸い上げて、州でひとつのデータベースにしているのが普通なのです
 が、例えばNY州やCA州のような人口の大きな州では、州としてのまとまったデータ
 ベースがありませんので、各カウンティにある裁判所に問い合わせなければなりま
 せん。

◇編集部◇
 現地企業(現地、日系企業双方とも)においてバックグラウンドチェックで注意す
 べきところについてお教え下さい。

◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
 バックグランドチェックをしないと万一のときに「Negligent Hiring(過失採用)」
  となって会社が訴えられるということを前述しましたが、一方でバックグランド
 チェックの実施に関しては規制が近年加えられ続けています。それは、あまりに
 もバックグランドチェックが厳しく行われ過ぎますと、一度でも犯罪を犯した人
 は再就職ができないということになり、それはそれで社会的な問題があるからで
 す。
 つまり、再就職が出来ないと再び犯罪に手を染めるということにつながり、犯罪
 を減らすことには寄与しません。そこで、雇用上の差別やハラスメントを監視して
 いる連邦行政機関であるEEOC (Equal Employment Opportunity Commission;
 均等雇用機会委員会)は、バックグランドチェックに関してのガイドラインを策
 定し、犯罪と業務との関連性、犯罪を犯してからの年月、犯した犯罪の深刻度、社
 会奉仕活動の有無などを考慮するように雇用主に抑制をかけています。EEOCから
 出されているガイドラインに沿ったバックグランドチェックの実施が望まれます。

◇編集部◇
 実際にバックグラウンドチェックの採用時のトラブル事例などありましたらお教え
 下さい。

◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
 バックグランドチェックの実施に関する法律であるFCRA (Fair Credit Report Act
 ; 公正信用報告法)に従い、なおかつEEOCのガイドラインに沿っていれば、問題は
 ないはずなのですが、まれに間違った犯罪歴が個人に記されていることがあり、過
 去に何の犯罪歴もない人から犯罪歴の履歴が出てくることがあります。それはたい
 ていの場合、裁判所の記録記載のミスが原因であったりするのですが、そのような
 時には、採用応募者本人がバックグランドチェックの結果に関する疑義の申し立て
 をすることができます。その申し立てに対して、バックグランドチェックを行った
 会社は、30日以内に真意を再調査して、本人にその結果を報告する義務があります。
 こうした際にも誠意を持って対応してくれるバックグランド調査会社を使うことが
 非常に重要です。

 ※今回、アメリカ側の回答として、人材コンサルタントの酒井謙吉氏に
  ご協力いただきました、ありがとうございました。
  Ken Sakai  President & CEO  Pacific Dreams, Inc.
  8532 SW Saint Helens Drive, Suite 220 Wilsonville, OR 97070 USA
  http://pacificdreams.org/

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