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2016.04.28
『世界の人事部(R)』Vol.84【労働問題の訴訟リスクin中国 】

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       ─ 中国・米国・日本の人事労務レポート ─
             『世界の人事部(R)』
                          【Vol.84 2016.4.28】
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  発信元:http://sekai-jinjibu.com/
 こんにちは。『世界の人事部(R)』編集部です。

  「熊本地震」により、被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
 一日も早い復興を心よりお祈りいたします。

 現地は、今も続く余震や暴風雨による土砂崩れの影響等、様々な問題に直面し
  ています。善意のはずの支援や、ボランティアでもトラブルが起こっているようで
 すが、被災を免れた私たちは、現地の復興に支障が出ないこと・現地の方の役に立
 てることを第一に考えて、少しずつでも自分たちにできることを始めていくことが
 大切なのではないかと感じています。


□■CONTENTS□■ ───────────────────────────────────────


 【1】 今月の人事労務ニュース

 【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
     【連載:第84回】『世界の人事の現場から』

 【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報


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【1】 今月の人事労務ニュース
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【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
       【連載:第84回】『世界の人事の現場から』

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【第84回テーマ】
「テーマ:労働問題の訴訟リスクin中国」
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◇編集部◇
 今回のテーマは、先月に引き続き「労働問題の訴訟リスク」中国編です。
 海外事業進出にあたり、想定されるリスクのひとつとして、「訴訟」を挙げられる方は多いので
 はないでしょうか。今回は、中国における従業員からの労働訴訟リスクにスポットを当てていき
 たいと思います。日本や米国の状況と比べて、中国では労働問題・トラブルはどれくらいあるの
 でしょうか。

◆人事コンサルタント(中国)◆
 中国では2008年の労働契約法施行により、前年32万5,000件であった仲裁の受理数が65万件へと
 跳ね上がりました。理由はこの労働契約法が「労働者保護に重点が置かれている」こと、
 「仲裁費用を労働者が負担しなくてもよくなったこと」があげられます。
 その後2010年に55万件に減少しましたが、それ以降増え続け2014年においては69万件となってい
 ます。

◇編集部◇
 訴えの内容にはどのようなものがあるのでしょうか。

◆人事コンサルタント(中国)◆
 もっとも多いのが『報酬』に関わる労働争議です。2014年は25万8,000件あり、賃金だけでなく
 残業の不払いなども含まれます。
 次に「解雇・労働契約の終止」になります。2014年は15万5,000件になります。解雇問題は、
 特にお客様からの相談が多い事項です。中国においては、証拠をしっかり押さえておかないと
 仲裁で違法解雇とみなされることになり、違法解雇が認められた場合、
 経済補償金(勤続年数×退職日前12カ月間の平均賃金)の2倍の賠償金を支払う義務がありま
 す。そのため経済補償金を目的としたモンスター社員なども問題になりやすいですね。

◇編集部◇
 実際、従業員からクレームが発生し、訴訟まで発展してしまう場合、社内相談からどういっ
 た流れになるのでしょうか。

◆人事コンサルタント(中国)◆
 基本的には労働者が仲裁に訴えることになりますが、労働契約の解除、解雇時に法的な経済補
 償金額を明確にし、しっかり準備をし、交渉にのぞめば大きくもめることがないと言えます。
 逆に、強引な解雇や、解雇理由を合理的に説明できないといった準備不足の場合、仲裁になる
 ことが多くなると言えます。
 中国では裁判に至る場合、仲裁を経たのちに法院へ上訴することとなります。仲裁委員は労働
 法専門なのでどうしても労働者保護に傾きがちであるため社会的に労働者に明らかに非がある
 場合でも、企業が負けているケースがあります。そのため判例などを見ていると仲裁で負けた
 企業が法院で勝訴している事例が見受けられます。

◇編集部◇
 日本の労働基準法に基づく労働基準監督署に該当する監督行政機関はどういったものがあるの
 でしょうか?また、行政機関のほか、企業が外部委託・相談できる機関などもあれば教えてく
 ださい。

◆人事コンサルタント(中国)◆
 中国には国務院の労働保障行政部門が、日本でいう労働基準監督署にあたり、労働保障観察業
 務を主管しています。労働保障観察条例には、企業の違反に対して罰金、損害賠償の上乗せ規
 定などがあり、労働法関連の規定の中でもかなり厳しいものといえます。
 しかしながら、比較的労働者は労働保障行政部門に訴えるということよりも、直接仲裁へ行く
 ことが多いです。理由として、仲裁であれば従業員は企業に対して直接金銭を要求することが
 でき、かつ労働者が仲裁費用を負担することはないためです。
 一方、企業が相談できる公的機関としては、主に実務上の取り扱いを確認するための「人力資
 源和社会保障局(人力資源および社会保障局)」があります。労働争議や人事労務問題につい
 ては、コンサルタント会社、弁護士事務所等になると思います。

◇編集部◇
 現地企業(現地、日系企業双方とも)における、職場での労働訴訟になり得る問題を早期発見
 するための取り組みや発見された場合の一般的な対応の流れについてお教え下さい。

◆人事コンサルタント(中国)◆
 基本的なところですが、中国において、仲裁になった時、就業規則を仲裁委員に提出します。
 解雇が就業規則のルールに基づいて行われたかどうかが争点になるため、就業規則を整備する
 ことが大前提です。勤務態度に問題のある従業員については、就業規則に基づき早めに警告書
 をとっておくなどの処置をおすすめしています。ここまでしなければならないことは残念です
 が、一枚でも警告書をとることでまじめに仕事をしてもらえることにも繋がりますし、就業規
 則で『警告書○枚で「内部規定に著しく違反』ということに該当すると定めているならば、
 警告書の存在が問題行動の予防線になると思います。

◇編集部◇
 労働訴訟を扱う上での留意点や、今後職場でこうした問題が起きにくくするための対策、予防
 策として、どのようなものが求められると考えますか。

◆人事コンサルタント(中国)◆
 やはり就業規則を整備することが絶対に必要といえます。中国では就業規則を仲裁委員に提出
 することになりますので、日本とは異なりちゃんと整備し、周知をしたら運用していくことが
 必要です。近年、仲裁が増えるにつれ、労働法を少し勉強しているような労働者も増えていま
 す。ただし、中国の労働法は複雑でとらえどころがなく、地方によって違いがあるので企業側
 がしっかりと規定を把握し、運用しておけばそれだけでかなりのリスク管理できると言えるで
 しょう。

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