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2016.03.31
『世界の人事部(R)』Vol.83【労働問題の訴訟リスクinアメリカ】

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            ─ 中国・米国・日本の人事労務レポート ─
                  『世界の人事部(R)』
                                 【Vol.83 2016.3.31】
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発信元:http://sekai-jinjibu.com/
こんにちは。『世界の人事部(R)』編集部です。

明日4月1日に入社式を行い、新入社員が入ってくる企業も多いのではないかと思い
ます。
毎年、新入社員の特徴を例えている「日本生産性本部」によると、平成28年度の新入
社員は、「ドローン型」と名付けたそうです。特性としては、強い風(採用日程の変
化や経済状況などのめまぐるしい変化)に煽られたが、自動制御を保ち、目標地点に
着地した人が多く、スキルアップによって、様々な場面での貢献が期待できる。一方、
ワークライフバランスへの配慮や適性の見極めが要求されるとも分析。
※(出典:公益財団法人 日本生産性本部)
こういったことも参考にした上で、新人各々の個性や長所を大切にしていきたいです
ね。初々しい新人に負けないよう、新たな気持ちを持ってがんばっていきましょう。

それでは、今月も情報満載でお届けしてまいります!
ぜひ、最後までご覧下さい。

□■CONTENTS□■ ───────────────────────────────────────


 【1】 今月の人事労務ニュース

 【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
     【連載:第83回】『世界の人事の現場から』

 【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報


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【1】 今月の人事労務ニュース
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中国、アメリカ、日本国内の人事、労務、採用、育成などに関するニュースを
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アクセスはこちらから⇒http://www.919usa.com/

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アクセスはこちらから⇒http://jinjibu.jp/GuestNewsTop.php

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【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
       【連載:第83回】『世界の人事の現場から』
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【第83回テーマ】
「テーマ:労働問題の訴訟リスク in アメリカ」
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◇編集部◇
 海外事業進出にあたり、想定されるリスクのひとつとして、「訴訟」を挙げられる方は
 多いのではないでしょうか。今回は、その中でも従業員からの労働訴訟リスクにスポ
 ットを当てたいと思います。
 日本国内で、労働訴訟といえば「雇用(解雇・配置転換・雇い止め)」「賃金(給与・
 残業代未払い)」「セクハラ・パワハラ等」が主なものです。
 解決方法としては、労働組合・労働局のあっせん・労働審判・裁判といった方法に分
 かれていて、和解から最終的に民事訴訟まで様々です。
 日本の状況と比べて、現地では従業員との労働問題・トラブルはどれくらいあるので
 しょうか。第一弾はアメリカ編です。

◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
 ワシントンD.C. に本部のある連邦行政機関で、雇用上の差別問題を監視している
 EEOC(Equal Employment Opportunity Commission; 均等雇用機会委員会)は、
 2015年度(2014年10月1日から2015年9月30日まで)に89,385件の職場におけるクレ
 ームを従業員から受け取っています。EEOCのこの数字は毎年公式発表されますので、
 アメリカの人事関係者では最も注視する統計結果のひとつとして捉えられています。

◇編集部◇
 クレームの内容はどういったものがあるのでしょうか。

◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
 最近増え続けている労働問題は、「報復措置」です。
 EEOCに届くクレームの中でこの報復措置は、全体の44.5%(2015年度)を占めていま
 す。つまり、今のアメリカでは、従業員が報復措置を理由として、会社や上司を訴え
 るというものが最も多いわけです。アメリカ人は自分の持つ権利を主張することが当
 然と考える人が多いですから、その主張や申し立てに対して、本人の雇用上少しでも
 不利になるような措置を会社がとった場合、そういった行為はすべて報復措置と捉え
 られます。そしてアメリカでは多くの場合、法律違反に該当します。上司や会社側は
 法律違反になるという意識が薄かったりすると、この手のトラブルは頻発する可能性
 がありますので、注意が必要です。

◇編集部◇
 実際、従業員からクレームが発生し、訴訟まで発展してしまう場合、社内相談からど
 ういった流れになるのでしょうか。

◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
 従業員が社内で見過ごせない問題について、会社側に相談しても全くらちがあかない
 ような場合には、2つの方法が考えられます。
 ひとつは、会社を辞めて、自ら法律事務所のドアをたたき、弁護士との相談を行うこ
 とです。相談を受けた弁護士は、会社にレター(Demand Letter)を送りつけてきます。
 もうひとつは連邦、または州あるいは市の公的雇用監視機関にクレームを出します。
 クレームを受け取った機関は、会社に調査員を送ってきます。

◇編集部◇
 いくつか公的機関の名称が出てきておりますが、日本の労働基準法に基づく労働基準
 監督署に該当する監督行政機関はどういったものがあるのでしょうか?また、行政機
 関のほか、企業が外部委託・相談できる機関などもあれば教えてください。

◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
 以下の通り、いくつかあります。
 ・EEOC ※前述(Equal Employment Opportunity Commission; 均等雇用機会委員会)
 ・DOL(Department of Labor; 労働省)
 ・NLRB(National Labor Relations Board; 全米労働関係委員会)
 まず連邦機関としては、冒頭にご紹介したEEOCがあります。ここは雇用上における差
 別やハラスメントを監視しています。
 そしてDOL(Department of Labor; 労働省)は賃金支払いの監視、NLRB(National
 Labor Relations Board; 全米労働関係委員会)は労組結成や組合員の推進を行ってい
 ます。さらに、各州ごとにこれらに準じた州の機関があります。
 このように監視機関はいくつもあるのですが、残念ながら企業が委託や相談できるよ
 うな公的機関は基本的にはないのが現状です。

◇編集部◇
 現地企業(現地、日系企業双方とも)における、職場での労働訴訟になり得る問題を
 早期発見するための取り組みや、発見された場合の一般的な対応の流れについてお教
 え下さい。

◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
 スーパーバイザーや管理職へのトレーニングがその取り組みとなります。問題が発見
 された場合は、スーパーバイザーだけで解決するのではなく、会社内の人事にすぐに
 その問題を報告して、人事の指示を仰いだり、人事を介入させながら問題の早期解決
 に努めます。社内に人事がなければ、外部の弁護士やHRコンサルタントにサポートを
 仰ぎます。ただし、早期の段階で弁護士を使うのは費用対効果の面で最適ではないケ
 ースが多いです。


◇編集部◇
 労働訴訟を扱う上での留意点や、今後職場でこうした問題が起こりにくくするための
 対策、予防策として、どのようなものが求められると考えますか。

◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
 さきほどの答えと同じで、スーパーバイザーおよび管理職のトレーニングが何と言っ
 ても予防対策になると思います。トレーニングについては、大企業を除く多くの企業
 にはこのような部署やチームを社内で持っているわけではないので、社外のコンサル
 タントを使って行っています。確かにトレーニングの費用はかかりますが、訴訟にな
 ったときのことを考えれば、かかる費用は訴訟費用に比べて一桁以上も違いますので、
 比べるほどにもなりません。
 また、特に問題が起こっていなくとも管理職は従業員との日ごろのコミュニケーショ
 ンを欠かすべきではなく、特に面談で話し合ったことは必ずメモにして記録を残すと
 いうことが何よりも重要になります。
 最後にアメリカの労働法や雇用法は頻繁に変わるので、2,3年に1度は会社の従業員ハ
 ンドブックやジョブディスクリプション(職務記述書)の見直しを行って、内容をア
 ップデートすべきです。このような作業も社内だけで行おうとするとなかなかできな
 いものですので、外部機関を上手に使って対応すべきです。


 ※今回、アメリカ側の回答として、人材コンサルタントの酒井謙吉氏に
  ご協力いただきました、ありがとうございました。
  Ken Sakai  President & CEO  Pacific Dreams, Inc.
  8532 SW Saint Helens Drive, Suite 220 Wilsonville, OR 97070 USA
  http://pacificdreams.org/

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【3】人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
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