- 2009.11.30
- 『世界の人事部』Vol.7
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― 中国・米国・日本の人事労務レポート ―
『世界の人事部』
【Vol.7 2009.11.30】
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発信元:http://919.jp
こんにちは。『世界の人事部』編集部です。
11月11日よりスタートしました事業仕分け。民間人を中心とした仕分け人
と滅多に表舞台に顔を出さない役人が1つのテーブルを囲んで、次の瞬間
には回答を求められるような議論の様子が、インターネットを使ってライ
ブ中継されていました。ある種予定調和的な雰囲気が漂う国会中継とは緊
張感が違います。
27日の仕分け作業終了後、作業による財政効果は1兆6,000億円超とも報じ
られましたが、それとは全く別の問題として、こうした新たな取り組みに
トライし、国民の政治に対する関心を高める姿勢は「あり」ではないかと
思いました。
作りこんだ結果を見せるのではなく、作りこむ過程を見せる。やり方一つ
で周囲の意識も劇的に変わるものです。これは普段の仕事にもきっと活か
せますね。
それでは、今月も情報満載でお届けしてまいります!
ぜひ、最後までご覧下さい。
□■CONTENTS□■―――――――――――――――――――――――――
【1】 今月の人事労務ニュース
【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第7回】『世界の人事の現場から』
【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
【4】 編集部オススメの商品・サービスはこちら!
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【1】今月の人事労務ニュース
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中国、アメリカ、日本国内の人事、労務、採用、育成などに関するニュー
スを見出し形式でご紹介。
より詳しい情報が知りたい方は、下記サイトまでアクセス!
◇<中国>新聞晩報によると、年末に向けて企業の採用活動に回復の兆し
◇<中国>HR管理世界が、2009年上海市全体賃金福利評価結果を発表
◇<日本>アイ・キューが運営サイト「日本の人事部」上にて、
第2回「HRカンファレンス by 日本の人事部」レポートを掲載
この他にも、中国の最新人事情報を随時更新中!
アクセスはこちらから⇒http://www.919myts.com.cn/topics/
日本国内の最新人材業界ニュースを毎日更新中!
こちらから⇒http://jinjibu.jp/GuestNewsTop.php
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【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第7回】『世界の人事の現場から』
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人事や人材に関するテーマは、日本人だけの会社でも難しい経営課題の
一つです。それが日本から海外に赴任して会社や事務所を構えて、
さらに現地の人材を採用して、育成、マネジメント…となると、
その苦労は国内の比ではないと思われます。
そこで『世界の人事部』では、毎回、実際に中国、アメリカで活躍中の
人事・採用コンサルタントに人事労務などに関する質問をぶつけて、
現地における人事・労務・採用課題解決のヒントを提供してまいります。
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【第7回テーマ】
「アメリカ・中国のリストラ事情」
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◇編集部◇
昨秋のリーマン・ショック以降、企業の業績悪化の対応策としての
人員削減に関する話題をよく耳にします。とはいえ、日本の場合は
労働契約法などにより整理解雇(リストラ)を行うことは難しく、
「早期退職制度」や「希望退職者の募集」という形で人員削減を行う
ケースが多いようです。
同様に、アメリカや中国企業でも不況を乗り切るための手段として
人員削減を行う企業も多いと思います。その中でも、今回は整理解雇
(以下、解雇)の現状について教えて下さい。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
スタッフの解雇についてはケースによって法律も考え方も異なります
から一概には言えません。そこで今回の件について私の方からは、
「非労働組合者」のケースについてお答えします。
「非労働組合者」に関しては、アメリカの場合、法的なハードルは
「低い」と言えるでしょう。これは企業とスタッフの間で交わされる
雇用契約そのものが【At-Will】(随意的雇用関係)、つまり、いつ、
いかなる理由でも雇用関係を解消できることを原則としているから
です。
ただし、法律に則って解雇を行うにしても、訴訟対策は予め立てて
おくべきだと思います。
◆人事コンサルタント(中国)◆
中国においては「労働契約法」に人員削減、いわゆる解雇に関する
企業側の権利や制限、取るべき手順が明記されていることからも分
かるように解雇は法的に認められた行為です。
また、解雇する際の補償金である「経済補償金」は契約の履行期間、
つまり雇用期間に対してのみ発生するのですが、この算出方法も法律
で定められています。さらに、中国では契約の残存期間(例えば定年
までの期間)についての補償は法律で定められていませんから、実務
担当の方も補償金の金額設定に頭を悩ませることは少ないのではない
でしょうか。
ただ、いくら法的に業績難による解雇が認められているとはいえ、
あくまでもそれは企業側の論理です。人事コンサルタントの立場と
しては、スタッフ側が権利を主張して訴訟を起こすというケースも
あるものとして対応策を提案しています。
◇編集部◇
解雇に関する訴訟対策として、人事担当者としては具体的にどのよう
な対応が必要になりますか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
アメリカでは、解雇するスタッフの選定において人種や皮膚の色、
宗教、性別、出生国、年齢、障害、婚姻などの差別が少しでも見受け
られると訴訟を起こされる可能性があります。
また、能力によって解雇するスタッフを選ぶ際にも合理的かつ客観的
な基準がなければ訴訟リスクが高まりますので、解雇に関する対応に
は弁護士や人事コンサルタントと十分に準備を進めるべきです。
実際に解雇の旨を本人に伝える際にも弁護士を同席させ、弁護士に
解雇通達を行わせたり、「退職一時金」を渡して、これと引き換えに
「企業を訴えません」という確約書にサインをさせることで、訴訟
リスクを回避するケースもあります。
その他、解雇基準の差別感や不公平感を軽減するために「社歴の浅い
順に何名」という大枠を設定して十把一絡げに解雇することも一部
では行われているようです。この方法によって確かに訴訟リスクは
軽減できるのですが、一方で優秀な人材まで流出してしまうという
別のリスクを抱えることになってしまいます。
◆人事コンサルタント(中国)◆
中国では法律に則って解雇する場合、定められた手続きの正確な遂行
と法律に関する「理論武装」が必要です。そのためにもアメリカ同様、
人事担当者だけで全てを完結させようとするのではなく、弁護士など
と密にコミュニケーションを取りながら対応することが大切です。
これに加えて、解雇されるスタッフの「感情対策」を行うことが、
訴訟リスクを低減する上でとても大切になります。解雇されるスタッ
フの中には、企業側の一方的なやり方に反発する人もいるでしょうし、
職を失うことで生活に窮する人も出てくるかもしれません。こうした
人たちのことを考慮した上で、例えば「経済補償金」に別途上積みを
行ってスタッフへの配慮を表すケースがあります。また、再就職の支
援を行うということも「感情対策」としては有効でしょう。
◇編集部◇
解雇するスタッフに対する、企業側からのアフターフォローが充実し
ていれば、実務に携わる人事担当者のストレスも緩和されると思いま
すが、現状はいかがですか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
一時解雇(レイオフ)の場合、景気回復時には優先的に再雇用を行う
オプションはあります。また、一部の大企業や労働組合加盟者の中に
はベネフィットの継続などのフォローがあるという話も聞きます。
しかし、基本的に企業側はスタッフとの雇用関係が切れた時点で、
解雇したスタッフに対してフォローを行うことは、まずありません。
解雇されたスタッフ=失業者は、失業保険などの社会基盤がセーフテ
ィネットになるべきという考え方が、日本同様こちらでも一般的です。
◆人事コンサルタント(中国)◆
先程もお話しましたが、中国で解雇するスタッフに対する企業の対応
として法律で求められているのは「経済補償金」だけです。しかし、
訴訟対策として解雇されるスタッフの「感情対策」まで行った上で、
さらに解雇後のアフターフォローまでという会社はほとんどないで
しょう。
◇編集部◇
不況を背景とした業績低迷を受けてスタッフの解雇に踏み切る企業が
増加している現状について、率直なご意見をお願いします。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
アメリカでは再就職に当たって年齢によるハンディはありません。
また、風土的にも転職は一般的なお国柄ですから、解雇された側には
日本人ほど悲壮感はないと思います。また企業側も、雇用契約が大前
提として【At-Will】であることや訴訟リスクとのバランスを意識し
ながら解雇という手段を選択します。ある意味ビジネスライクです。
そのため、解雇の方法や訴訟のリスクについての相談はありますが、
その多くが「経営の立て直し」を前提とせず、「今を乗り切るため」
の解雇についての相談であるという点は少し残念ですね。
◆人事コンサルタント(中国)◆
中国の場合、「スタッフの解雇」は親会社あるいは本体の経営立て直
しに向けた現地企業の「撤退」や「清算」といった選択肢と同列で検
討されます。現地スタッフが働く場所の存続を前提に経営の立て直し
策を検討するのではない点ではアメリカと同じですね。この傾向は海
外から中国に進出してきた企業によく見られます。そして「撤退」
または「清算」するのでスタッフも解雇となるわけです。
こうした背景を考慮した上で率直にお答えするならば、未知の市場に
進出する上で、勝てない競争は避け、勝てる見込みがあれば進出する
という原則を守ることがいかに重要かということです。この原則に基
づいて事業が展開されていれば業績悪化とはいえ、いきなり存続か撤
退・清算か、ひいては現地スタッフの解雇かという選択に迫られる
可能性もグンと減るのではないかと思います。
確かに中国は成長市場です。ですが、それだけに競争が厳しい市場
とも言えます。そんな市場に進出するには、やはり相応のリサーチ、
戦略などの準備が必要です。そこを怠ってしまうと、今回のような
ケースでは、企業・現地スタッフの双方にとって望ましくない措置を
取らざるを得ないことになるということを肝に銘じておくべきだと
思います。
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