- 2010.02.26
- 『世界の人事部』Vol.10
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― 中国・米国・日本の人事労務レポート ―
『世界の人事部』
【Vol.10 2010.2.26】
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発信元:http://919.jp
こんにちは。『世界の人事部』編集部です。
熱戦が繰り広げられているバンクーバーオリンピックもいよいよ大詰め。
今回は前回のトリノ大会と比べ獲得したメダルの総数は多かったのですが、
スキージャンプ競技の不振など、往年の「お家芸」の苦戦も印象的でした。
「お家芸」の低迷と言えば、トヨタのリコール問題も、日本の「お家芸」
とも言える技術力や品質の高さに影を落とす問題になりました。
一旦低迷してしまった「お家芸」を復活させるには、人材育成を含め大き
なパワー、そして「私たちは、これを伸ばす」という信念が必要になるか
と思います。
もちろん、これはスポーツの世界に限ったことではなく、企業経営におい
ても同様だと思います。自社の「お家芸」が何かを考え、どのようにこれ
を伸ばすのか。その中で、人事担当者はどんな役割を果たすべきなのか。
色々と考えさせられることの多い今回のオリンピックシーズンでした。
それでは、今月も情報満載でお届けしてまいります!
ぜひ、最後までご覧下さい。
□■CONTENTS□■―――――――――――――――――――――――――
【1】 今月の人事労務ニュース
【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第10回】『世界の人事の現場から』
【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
【4】 編集部オススメの商品・サービスはこちら!
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【1】 今月の人事労務ニュース
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中国、アメリカ、日本国内の人事、労務、採用、育成などに関するニュー
スを見出し形式でご紹介。
より詳しい情報が知りたい方は、下記サイトまでアクセス!
◇<中国>新聞晨報によると、4月1日から上海市の最低賃金が約15%上昇
◇<中国>上海市が、2010年城鎮企業事業単位定年退職者基本養老金の
増加方法を発表
◇<アメリカ>クイックUSAでは、ロサンゼルスで派遣・正社員ともに
Logistics関連のポジションが増加中!
この他にも、中国の最新人事情報を随時更新中!
アクセスはこちらから⇒http://www.919myts.com.cn/topics/
アメリカ国内の最新求人情報を随時更新中
アクセスはこちらから⇒http://www.919usa.com/
日本国内の最新人材業界ニュースを毎日更新中!
アクセスはこちらから⇒http://jinjibu.jp/GuestNewsTop.php
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【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第10回】『世界の人事の現場から』
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人事や人材に関するテーマは、日本人だけの会社でも難しい経営課題の
一つです。それが日本から海外に赴任して会社や事務所を構えて、
さらに現地の人材を採用して、育成、マネジメント…となると、
その苦労は国内の比ではないと思われます。
そこで『世界の人事部』では、毎回、実際に中国、アメリカで活躍中の
人事・採用コンサルタントに人事労務などに関する質問をぶつけて、
現地における人事・労務・採用課題解決のヒントを提供してまいります。
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【第10回テーマ】
「アメリカ・中国の社会保険事情」
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◇編集部◇
今回のテーマは社会保険です。
日本の平成22年度予算案では、社会保険の中でも健康保険や厚生年金保
険、雇用保険の料率が軒並みアップの予定となっています。この厳しい
景況の中では、まさに労使双方にとって厳しい出費となりそうです。
今回はアメリカ・中国における社会保険の実態や、社会保険に関する
ニュースなどについておうかがいしたいと思います。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
アメリカで加入が義務付けられている社会保険には、退職・障害・遺族
年金を提供する包括的な年金制度である「ソーシャル・セキュリティ」、
高齢者や障害者向け医療保険制度である「メディケア」、さらに「失業
保険」や「労働者災害補償保険」、「障害者保険」がありますが、州に
よってはこれらに加えてさらに「雇用機会促進税」を徴収している州も
あります。
一方で一部の州を除いて健康保険が強制加入でないなど、在米日本人ス
タッフとしては、日本の社会保険制度の方が充実度は高いと感じますよ。
◇編集部◇
例えば日本の場合、平成22年度からは健康保険料率が全国平均で9.3%、
厚生年金保険料率が16.058%となり、これが労使折半です。また、一般
事業の場合、スタッフ側が0.6%、会社側が0.9%をそれぞれ負担すること
になりますが、アメリカでは強制保険の負担割合はどのようになってい
ますか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
社会保障税は、次のようになっています。
「ソーシャル・セキュリティ」: 2010年度は、年間累計給与$ 106,800
までを限度とし、会社負担・個人負担ともに6.2%
「メディケア」: 年間給与額に制限無く会社負担・個人負担ともに
1.45%となっています。
注:「ソーシャル・セキュリティ」は毎年課税限度額が見直されます。
また、「失業保険」については100%企業負担となっているほか、「労
働者災害補償保険」や「障害者保険」はニューヨーク州では100%企業
負担になりますが、これらは州によって異なります。
◇編集部◇
一方、中国の社会保険事情はどのようになっているのでしょうか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
中国では国の基本ルールがあり、これに従って各地方政府が詳細を定
めています。誤解を恐れずに言えば、地方によってバラバラ。
そのため、中国全土に展開している企業では、現地企業でさえ人事管
理が大変なようです。
そんな中国の社会保険ですが、大まかに言いますと「養老保険(年金)」、
「医療保険」、「労災保険」、「失業保険」、「生育保険」の5つが
あります。
各保険の負担割合は納付条件が地域によって様々ですので、ここでは
中国でも社会保険内容が手厚いと言われている上海市の「城鎮(都市)
保険」と呼ばれる社会保険の負担割合をご紹介します。なお、負担割
合については、賞与も含めた本人の前年度の月額平均給与である「社
会保険納付基数」に対する割合です。「中国は人件費が安い」と言わ
れて久しいですが、こうした社会保険の会社負担分も考慮すると、
手取り給与の2倍近くの人件費が発生することも少なくありません。
「養老保険」:会社負担22%、個人負担8%
「医療保険」:会社負担12%、個人負担2%
「失業保険」:会社負担2%、個人負担1%
「労災保険」および「生育保険」:ともに会社負担0.5%のみとなって
います。
◇編集部◇
こうした社会保険の中で、現地特有の保険はありますか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
「生育保険」がこれに当たります。例えば上海市の場合、「生育保険」
に加入していれば出産費用の一部を補償するだけでなく、産前産後の
基本90日間、給与全額補償の産休が取得できます。さらに24歳以上の
初産であれば「晩産」と見なされ給与全額補償の対象となる産休がさ
らに約1ヵ月半加算され、加えて妊娠してから子供が1歳になるまでの
2年間は雇用も保護されるなど非常に手厚い保障内容となっています。
◇編集部◇
また、アメリカおよび中国において、社会保険に関する新しい動きや
トピックスはありますか。特にアメリカなどはオバマ大統領が医療保
険改革を推進しているようですが、いかがでしょうか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
アメリカではオバマ大統領が、この国民皆保険加入を目指していますが、
医療機関や保険業界など関係者の間では「無理」という見方が一般的。
とはいえ、医療費の高いアメリカで無保険の生活はリスクが高すぎます。
例えば盲腸の手術や出産でも何百万円と、日本では考えられない費用が
かかります。この医療費の高騰とともに健康保険料も高騰し、今や一般
的な家族が健康保険に加入しようとすると、月額1,500ドルを超えること
も、決して珍しいことではありません。1ドル90円としても、健康保険料
が月額13万円を超えるなんて、日本ではまず考えられませんよね。
こうした背景もあり、求職者にとって健康保険の有無は企業選択の上で
も大きなポイントになってきています。先述のとおり、健康保険は強制
加入ではありませんが、優良企業では100%会社負担にしたり、日系企業
でも基本給を控えめに設定しつつも健康保険などの福利厚生を充実させ
るなどして、優秀なスタッフの獲得をサポートしています。とはいえ、
依然として厳しい景況の中、こうした費用負担は経営サイドとすれば
正直厳しい負担であり、保険内容を低いものに変更したり、社員に保険
料を一部負担させる企業が増えています。
◇編集部◇
一方、中国の社会保険に関する動きや今後の展望についてはどうですか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
中国の社会保障制度は、今も改善途上の状況です。例えば以前であれば
社会保険の移転が難しかったり、戸籍によって加入できる保険が決めら
れているなど、色々と構造上の問題も多かったのですが、これらが徐々
に改善されつつあります。今年1月の時点でも「養老保険(年金)」の
移転、「医療保険」の省をまたいだ移転が可能になるという新制度が発
表されています。
また、戸籍による加入保険の差別も撤廃の方向に進んでいます。例えば
上海市の場合でも、これまでは上海戸籍や居住証を持たない上海市以外
の出身者である「外地人」は保障内容も手薄い分、保険料も月額250元
程度の「総合保険」にしか加入できませんでした。
しかし、昨年7月からは、都市戸籍を持つ「外地人」が一定条件を満た
した場合、先述の手厚い保障が受けられる「城鎮保険」への加入が義務
付けられました。スタッフとしては保障内容が充実することで、より安
心して仕事に取り組める環境が整うことになります。しかし「総合保険」
だと月額250元でよかった保険料が、「城鎮保険」になることで、各スタ
ッフの「社会保険納付基数」の48%が新たな保険料負担となり、結果的
に大幅な人件費増加につながりますから、経営サイドとしては頭の痛い
ところではないかと想像します。
とはいえ、急速に進む高齢化社会や労働者が安心して働ける環境づくり、
さらに従来からの構造上の問題を改善していく上で、今後も社会保険制
度に関する整備、制度改正は進むと思いますので、こうした変化への対
応力を高めることも経営サイドとしては重要な課題になると思います。
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