- 2010.03.31
- 『世界の人事部』Vol.11
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― 中国・米国・日本の人事労務レポート ―
『世界の人事部』
【Vol.11 2010.3.31】
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発信元:http://919.jp
こんにちは。『世界の人事部』編集部です。
3月19日、製造業や登録型派遣の原則禁止を柱とする労働者派遣法改正案
が閣議決定され、今国会に提出されることになりました。この法改正によ
り、これまで派遣社員を活用して人件費を抑制してきた中小企業が厳しい
対応に迫られ、結果的に中途採用市場、或いは新卒採用市場における雇用
機会の減少などに繋がるとの見方もあるようです。また、派遣という働き
方にメリットを感じている労働者・求職者側にとっても今回の改正が魅力
的かどうかという点にも疑問符がつくかもしれません。
こうした日本の現状を受け、今号と次号の取材記事「世界の人事の現場か
ら」では、アメリカ、中国の人材派遣市場をテーマに紹介してまいります。
それでは今月も、ぜひ最後までご覧下さい。
□■CONTENTS□■―――――――――――――――――――――――――
【1】 今月の人事労務ニュース
【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第11回】『世界の人事の現場から』
【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
【4】 編集部オススメの商品・サービスはこちら!
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【1】 今月の人事労務ニュース
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中国、アメリカ、日本国内の人事、労務、採用、育成などに関するニュー
スを見出し形式でご紹介。
より詳しい情報が知りたい方は、下記サイトまでアクセス!
◇<中国>新聞晩報によると、大学生の求職第一希望が国有企業に
◇<中国>労働報によると、上海新卒の第一希望も国有企業に
◇<中国>人民網によると、広東省が最低賃金基準を21.1%以上調整
◇<アメリカ>4月1日より新規H1bvisaの申請受付が開始
この他にも、中国の最新人事情報を随時更新中!
アクセスはこちらから⇒http://www.919myts.com.cn/topics/
アメリカ国内の最新求人情報を随時更新中
アクセスはこちらから⇒http://www.919usa.com/
日本国内の最新人材業界ニュースを毎日更新中!
アクセスはこちらから⇒http://jinjibu.jp/GuestNewsTop.php
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【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第11回】『世界の人事の現場から』
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人事や人材に関するテーマは、日本人だけの会社でも難しい経営課題の
一つです。それが日本から海外に赴任して会社や事務所を構えて、
さらに現地の人材を採用して、育成、マネジメント…となると、
その苦労は国内の比ではないと思われます。
そこで『世界の人事部』では、毎回、実際に中国、アメリカで活躍中の
人事・採用コンサルタントに人事労務などに関する質問をぶつけて、
現地における人事・労務・採用課題解決のヒントを提供してまいります。
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【第11回テーマ】
「海外の人材派遣市場の現状は? アメリカ編」
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◇編集部◇
今回のテーマは人材派遣です。
ある調査によると、昨年1月から11月までの労働者派遣業の倒産件数は
前年同期比53.7%増とのこと。主な原因は、リーマン・ショック以降の
取引先による「派遣切り」や「雇い止め」、それに伴う派遣業界への
イメージダウンなどによる業績悪化に加え、先日閣議決定された派遣
法改正を見据えた顧客企業の派遣活用の手控えなどによる業績悪化が
挙げられています。
日本国内の派遣業界が、上記のように大きな打撃を受けている中、海外
の派遣市場はどのような状況にあるのでしょうか。中でも、今回はアメ
リカの人材派遣市場についてうかがってみたいと思います。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
アメリカの「派遣社員」には大きく分けて二つの種類があります。
一つはTemporary Help Staffという、生産現場やオフィスワーク補助の
業務に携わる、日本の派遣社員のイメージに近いものです。そしてもう
一つがContract Staffと呼ばれる、経営層や弁護士、IT技術者といった
極めて専門性が高い職種、プロフェッショナル系の派遣社員です。
各職種の割合については、2005年の労働統計局のデータを見てみますと
主な職種については以下のような状況でした。
生産・輸送・運搬職 30.1%
事務・管理サポート職 24.8%
販売・サービス職 17.7%
経営・管理・財務職 7.6%
専門職・関連職 12.7%
事故や病気が発生しやすい職場やターンオーバー(入退社)の多い職場、
学歴やスキルを必要としない職種でのニーズが大多数を占めています。
◇編集部◇
アメリカにおいても、日本と同様に生産現場やオフィスワーク、さらに
は販売・サービス系の職種で人材派遣が活用されているようですね。
ところで、現地企業は人材派遣サービスをどのように捉えていますか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
アメリカでは、正社員の雇用契約は「At Will」という随意的雇用契約
関係となっていますから(世界の人事部vol7参照)、業績不振等の理
由による解雇は日常的に行われています。一方、人材派遣については
企業にとってはあくまでもTemporary Help Employmentの文字通り
「人手不足の際の一時的な雇用」という意味合いが強く、働く側も企
業のそうした考え方を理解していると思います。
ちなみに、アメリカの労働者に占める派遣スタッフの割合は約2%と、
決して大きな市場ではありません。そのため、一般企業で派遣スタッフ
を受け入れる必要性は低いと思いますが、大企業や大量採用が必要な
ケースにおいては労働者災害補償保険料や失業保険料を抑えられる点や
採用コストを削減できる点は、派遣スタッフ活用の大きなメリットだと
思います。
一方、日系企業にとっては、正社員の採用には本社の承認が必要でも、
派遣スタッフの採用の場合は現地決裁でOKというケースが多いです。
給与計算、各種保険計算の手間が省けたり、ビザの心配もない、さらに
Temp to Perm(紹介予定派遣)としてスタートさせればスタッフの見極
めができるなどのメリットを考えれば、人材派遣は魅力的なサービスだ
と思いますね。
◇編集部◇
一方、働く側や求職者にとっては、人材派遣という働き方はどのように
位置付けされているものなのでしょうか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
American Staffing Associationが派遣スタッフに対して行った、
「なぜ人材派遣サービスを活用するのか」という調査によると、正社員
雇用に繋がる可能性があるから、スキルアップができるから、追加収入
を得るのに都合がいいから、勤務時間が選びやすいから、仕事が選びや
すいからなど、比較的ポジティブな回答が上位を占めています。
一方、日系企業に派遣スタッフとして活躍している方々に話を聞いてみ
ると、正社員への足掛かりとして考えているという回答が多いものの、
正社員に比べ賃金やベネフィットが低い、待遇は派遣社員のままで重要
なポストや業務を任されるケースも多いというネガティブな意見もあり
ます。その裏には、本当は正社員で働きたいけれどポジションがないた
め、派遣を選ばざるを得ないという現実の壁が大きく立ちはだかってい
るようです。
◇編集部◇
正社員採用は本社の承認が必要という日系企業の特性も、少なからず影
響しているかもしれませんね。
ところで、リーマン・ショック以降のアメリカの人材派遣市場もかなり
冷え込んでいると思いますが、今後の市場の動きについてはどのように
お考えですか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
派遣スタッフの雇用状況について過去の推移を見てみますと、1982年に
失業率が10%を超えた際に派遣職の雇用が一旦底となり、2年後の84年
に急回復しています。また、景気後退が顕在化した91年に大幅に減少し、
そこから93年にかけて大幅に回復。また、米国同時多発テロのあった
2001年も派遣雇用が激減しましたが、2004年にはテロ以前の水準にまで
回復しています。つまりアメリカ国内の人材派遣市場は、一旦陰りが見
え始めるとそこから2~3年かけて下がって底を打って、そこから急激に
回復し2~3年後には再びピークを迎えるという繰り返しになっています。
こうした傾向を見ますと、今回は2005年から2006年にかけて緩やかに下
がりはじめ、リーマン・ショック以前の2007年から急激に下がりました。
そう考えると今年辺りからは回復が期待できるのではないかと思います。
実際に弊社でも主に日系企業に対して人材派遣サービスを提供していま
すが、リーマン・ショックの影響から、昨年4月より、顧客企業による
派遣スタッフの雇用終了が急増しました。しかし、この一連の流れも昨
年11月以降は収束に向かいつつあるというのが、現場としての実感です。
特にアメリカの場合、雇用調整が日本に比べ行いやすい環境にあります。
そのため、人員削減等を行うことで人件費を圧縮する、相対的な生産性
を高めるなど筋肉質な体質に変えることは、そう難しいことではありま
せん。ただ、一旦景気が回復に向かい始めると今度は絶対的に人手が足
りない。でも、先程もお話したとおり正社員の採用には本社(日本)へ
のおうかがいが必要になる。ならば、現地で採用が可能な人材派遣サー
ビスを活用しようという流れによって、アメリカ全体の人材派遣市場に
比べて、日系企業による人材派遣の活用が早い段階で回復してきている
ものだと考えます。
これらの傾向を踏まえるならば、人材派遣各社は、日系企業よりも少し
遅れて急回復してくるだろうアメリカの人材派遣ニーズへの対応策を固
めておくことが望ましいといえるのではないでしょうか。
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