- 2011.11.30
- 『世界の人事部』Vol.31
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― 中国・米国・日本の人事労務レポート ―
『世界の人事部』
【Vol.31 2011.11.30】
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発信元:http://919.jp
こんにちは。『世界の人事部』編集部です。
最近、大王製紙前会長による連結子会社からの資金の借り入れ問題やオリ
ンパスの多額の損失隠し問題など、上場企業の不祥事が相次いでいます。
ただ、こうした問題はどの企業でも起こりうる問題ではないでしょうか。
事業を軌道に乗せ、利益を出すことは大切ですし、財務面から企業を支え
ることも企業経営の上では大切なことです。しかし、企業倫理やコンプラ
イアンスへの意識は、それら以上に大切なもの、根底にあるべきものだと
思います。
こうした意識が経営層にまで浸透していれば、ひょっとすると今回の問題
は未然に防げたかもしれません。その意味では、経営層にもまだまだ学ぶ
べきこと、身に付けるべき考え方はあるのではないでしょうか。
一般的に人材育成や教育は一般社員を対象に考えがちですが、この機会に、
経営層を対象とした教育や研修について検討してみてはいかがでしょうか。
それでは、今月も情報満載でお届けしてまいります!
ぜひ、最後までご覧下さい。
□■CONTENTS□■─────────────────────────
【1】 今月の人事労務ニュース
【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第31回】『世界の人事の現場から』
【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
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【1】 今月の人事労務ニュース
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中国、アメリカ、日本国内の人事、労務、採用、育成などに関するニュー
スを見出し形式でご紹介。
より詳しい情報が知りたい方は、下記サイトまでアクセス!
<中国> 羊城晩報によると、広東地区で給与調査報告が発表され、
各種職業の月額賃金の上昇が明らかに。
平均月収の上位は金融保険、情報諮詢人材交流、通信電気通信業
<中国> 新聞晨報によると、2011年の日系企業の給与上昇率は11.3%に
この他にも、中国の最新人事情報を随時更新中!
アクセスはこちらから⇒http://www.919myts.com.cn/topics/
アメリカ国内の最新求人情報を随時更新中
アクセスはこちらから⇒http://www.919usa.com/
日本国内の最新人材業界ニュースを毎日更新中!
アクセスはこちらから⇒http://jinjibu.jp/GuestNewsTop.php
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【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第31回】『世界の人事の現場から』
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人事や人材に関するテーマは、日本人だけの会社でも難しい経営課題の
一つです。それが日本から海外に赴任して会社や事務所を構えて、
さらに現地の人材を採用して、育成、マネジメント…となると、
その苦労は国内の比ではないと思われます。
そこで『世界の人事部』では、毎回、実際に中国、アメリカで活躍中の
人事・採用コンサルタントに人事労務などに関する質問をぶつけて、
現地における人事・労務・採用課題解決のヒントを提供してまいります。
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【第31回テーマ】
「中国・アメリカにおけるボーナス事情」
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◇編集部◇
早いもので、2011年も残り1か月となりました。そして、年末と言えば
ボーナスを思い浮かべる方も多いでしょう。民間調査会社の見通しによ
ると、今冬の民間企業における1人当たりボーナス支給額は37万円台と、
東日本大震災の影響による上半期業績の落ち込みもあり、3年連続で減
少となるようです。
このように日本のボーナス事情は厳しい状況が続いていますが、中国や
アメリカの状況はいかがでしょうか。何より、そもそも中国・アメリカ
では、日本で言うところのボーナス文化は存在するのでしょうか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
中国では、春節(旧正月)前に1か月分の給与を上乗せで支給するダブ
ルペイという習慣が長らく続いており、これが日本でいうところのボー
ナス文化に近いかと思います。このダブルペイは香港の古くからの慣習
で、年間13ヵ月分の給与を保証し、年末から春節前までにダブルペイを
実施する制度に由来していると聞いています。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
アメリカでもボーナスは存在しますが、日本と比べると、業績に連動し
た「利益還元」や「短期インセンティブ」という意味合いがより強いも
のになっていると感じます。そのため、支給対象についても全ての部署、
スタッフに支給されるわけではなく、また支給時期についても日本のよ
うに夏と冬の年2回というように決まって支給されるものでもありませ
ん。特に支給対象が全社員ではないという点については、日本のボーナ
ス文化と大きく異なる点ではないでしょうか。
多くのアメリカ企業が、こうした業績に連動した利益配分制度をとって
いる理由としては、固定費である人件費の中でも基本給の上昇を抑えら
れるというメリットに加え、業績向上に向けたスタッフのモチベーショ
ンアップにも有効だからと考えられます。つまり、「基本給は控えめだ
けど、業績が出ればちゃんとボーナスで手厚く利益還元するよ」という
スタンスですね。実際、こうした点に経営メリットを感じ、業績連動型
のボーナス支給スタイルをとる企業はアメリカ国内でも着実に増えてき
ています。
◇編集部◇
中国、アメリカともに、基本給にプラスして支給されるという意味では
日本のボーナスに近いものと感じますが、由来や意味合いを考えてみる
と、中国のダブルペイは制度的なもの、アメリカのボーナスはインセン
ティブ的なもの、日本のボーナスは季節的、あるいは生活補助的なもの
というところで、実は似て非なるものなのかもしれません。では、支給
回数や支給額に関する最近の傾向などについてはいかがでしょうか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
日系企業の約60%では、年1回のボーナス支給となっています。これは
ダブルペイの習慣が浸透していることに加え、中国では年1回のみボー
ナス時の優遇税制が認められることが大きな理由として考えられます。
とはいえ、経済成長著しい中国では、これまでのような年1回の支給で
はなく、年2回のボーナス支給とする企業も徐々に増えてきているとい
うのが現状です。
さらに、経済成長が進むにつれ支給額についても利益配分的要素が色濃
くなってきており、ボーナス1ヵ月~2ヵ月という考え方では通用しな
い世の中になってきているというのが現実です。特に中国系企業などで
は年間20ヵ月分を超えるボーナスを支給している企業も珍しくなくなっ
てきました。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
支給回数に関しては前述のとおり、一般的にアメリカのボーナスは業績
に連動して支給されるため年に何回というものはありません。また、支
給額についても業績と連動して決まるケースが多いため、一概に何ヵ月
分という表現も難しいですね。ただ、上級管理職以上の方々に支給され
るボーナスについては、一般のスタッフに比べるとかなり高額ではない
かと思います。業績と連動しているわけではないですが、経営再建中の
企業幹部への巨額ボーナス支給というニュースが報じられるたびに、経
営が順調な時などはボーナスも青天井なのではと思ってしまいます。
◇編集部◇
では、中国、アメリカにおいて支給額を決める一般的な査定方法、さら
にその過程で配慮すべき点などがあれば併せてお願いします。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
アメリカでは、まずスタッフ一人ひとりの実績評価を行い、さらに会社、
事業部ごとの利益に基づいて支給するボーナスのパーセンテージを決め
るという方法が一般的です。
ただ、アメリカのボーナスは業績に連動しているため、特定の職種や事
業部にのみ支給されますから、支給されなかったスタッフからは不満や
社内での不公平感が出てくるなどの問題が生じる可能性があります。
こうした問題を避けるためにも、実績に基づく公正な評価を行うととも
に、配分ルールを明確に定め、社内で周知させておくことは大切な取り
組みだと思います。或いは、業績に応じて支給額に差はつけるものの、
スタッフ全員にボーナスを支給するという日本的な方法も、日系企業で
は「あり」なのではと考えます。
◆人事コンサルタント(中国)◆
中国におけるボーナス支給額の査定方法ですが、これは企業の考え方に
よって様々です。例えば、日系企業の場合は、日本の査定基準を使って
支給額を決めているケースが多いようです。また、現地企業では会社の
目標以上に利益が出た場合などは総経理の一存で配分を決定できること
も少なくありません。世界中の企業が終結し、多種多様な価値観が存在
する上海において、基本的・一般的なスタンスを探し出すことは非常に
難しいことですし、むしろあまり意味がないことかもしれません。
一方で、実際に査定を行う過程では「相場」という考え方に気を付ける
べきだと思っています。「大体みんながこの程度だから」という意味合
いの「相場」を前提に話を進めてしまうと、スタッフ本人の能力や業績
に対する貢献度に対するしっかりした評価ができません。何より、ボー
ナスに対する考え方が利益配分的なものに移りつつある今の中国で、
「相場」を前提にしてもスタッフからの納得は得られないと思います。
そうした背景も踏まえて、この機会に、自社ではボーナスがどのような
目的で支給されるのかという根本的な部分を改めて問い直してみること
で、スタッフのモチベーションアップにもつながる御社ならではのボー
ナスに関する制度が構築できるかもしれませんね。
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【3】人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
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