メールマガジン

2011.12.28
『世界の人事部』Vol.32【現地人事コンサルタントが選ぶ 2011年現地ニュース TOP3&2012年展望】
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       ― 中国・米国・日本の人事労務レポート ―
             『世界の人事部』
                       【Vol.32 2011.12.28】
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  発信元:http://919.jp

 こんにちは。『世界の人事部』編集部です。

 今年1年を振り返ってみると、東日本大震災や原発問題、タイの洪水、欧
 州金融不安、円高の長期化等々、国内経済に大きなインパクトを与える出
 来事が多かったと感じます。
 一部については事態が収束しつつあるようですが、その多くは、来年以降
 も経済や私たちの生活に影響を与えることになりそうです。
 2012年は、これらの逆境の中で生まれた強い「絆」の力で、日本の至る所
 で、沢山の明るいニュースが生まれることを期待したいですね。

 さて、2011年は本メールマガジンが最終号となります。
 今年も一年間ご愛読いただき、本当にありがとうございました。
 2012年も皆さまのお役に立てる情報を発信できるよう努力してまいります。
 引き続き、ご愛読の程よろしくお願いいたします。

 □■CONTENTS□■─────────────────────────
 
 【1】 今月の人事労務ニュース

 【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
     【連載:第32回】『世界の人事の現場から』

 【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報

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 【1】 今月の人事労務ニュース
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 中国、アメリカ、日本国内の人事、労務、採用、育成などに関するニュー
 スを見出し形式でご紹介。

 より詳しい情報が知りたい方は、下記サイトまでアクセス!

 <中国> 東方網によると、上海外資系企業に勤務するワーカーの
      平均年収は、前年比9.8%増の54,954元に

 <中国> 人民日報によると、業界・企業間での所得格差が拡大
      2010年における金融業と農林牧漁業の平均賃金格差は4.2:1に


 この他にも、中国の最新人事情報を随時更新中! 
 アクセスはこちらから⇒http://www.919myts.com.cn/topics/

 アメリカ国内の最新求人情報を随時更新中
 アクセスはこちらから⇒http://www.919usa.com/

 日本国内の最新人材業界ニュースを毎日更新中!
 アクセスはこちらから⇒http://jinjibu.jp/GuestNewsTop.php

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 【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。  
       【連載:第32回】『世界の人事の現場から』
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 人事や人材に関するテーマは、日本人だけの会社でも難しい経営課題の
 一つです。それが日本から海外に赴任して会社や事務所を構えて、
 さらに現地の人材を採用して、育成、マネジメント…となると、
 その苦労は国内の比ではないと思われます。

 そこで『世界の人事部』では、毎回、実際に中国、アメリカで活躍中の
 人事・採用コンサルタントに人事労務などに関する質問をぶつけて、
 現地における人事・労務・採用課題解決のヒントを提供してまいります。
 
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 【第32回テーマ】
 「現地人事コンサルタントが選ぶ 
  2011年現地ニュース TOP3&2012年展望」
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 ◇編集部◇
  気が付けば、2011年も残すところあとわずか。

  今年は3月の東日本大震災や9月以降の台風被害、さらには国外でもタイ
  の洪水などを通じて自然災害の怖さを思い知らされるとともに、日本経
  済や雇用情勢もまた、これら自然の力に振り回されたという印象の強い
  1年でした。さらに長引く円高や世界的な株安、ヨーロッパの金融情勢
  不安などの問題も相まって、来年以降の国内経済の見通しは不透明な状
  況が続いています。

  こうした2011年ですが、アメリカや中国にとってはどんな1年だったの
  でしょうか。今回は、年末恒例の企画となりましたが、現地でご活躍中
  の皆さんに、今年特に気になった出来事や来年の見通しについてうかが
  っていきたいと思います。

  まず、今年1年を振り返ってみて印象に残ったニュースをお願いします。


 ◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
  まずは、日本で発生した東日本大震災です。
  これはアメリカの日系企業にも大きな影響を与えました。当初は旅行や
  物流、製造業界をはじめとして、一時的にビジネスがストップしたとい
  う企業が数多く見受けられました。さらに、震災の影響による急激な円
  高により日本の輸出関連企業は厳しい状況にさらされました。 

  約10か月が経過した今では、相変わらず円高基調が続いてはいるものの、
  その要因は、既に震災の影響からヨーロッパの金融不安やアメリカの景
  気後退懸念へと移っています。また、震災直後は一時期業務が不安定に
  なったものの、その影響により日系企業各社でリストラが行われるなど
  雇用状況の悪化につながるようなこともなく、現地は落ち着きを取り戻
  しています。


 ◇編集部◇
  日本でも、震災によるサプライチェーンの分断等の影響から自動車業界
  を中心に製造業が大きな打撃を受けましたが、復旧は想定以上のスピー
  ドで進み、さあ下半期からの巻き返しだというところに、タイの洪水が
  発生して、またしても先行き不透明な状態に逆戻りという状況です。
  加えて、長引く円高が輸出比率の高い製造業各社の業績押し下げの要因
  となり、じわじわと各社の体力をそぎ落としている状況が続いています。


 ◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
  次に挙げられるのは、アメリカの債務上限引き上げ合意、そして信用格
  下げというニュースです。
  アメリカ政府が債務不履行(デフォルト)を避けるために、借金の上限
  を引き上げなければならない問題で、共和党と民主党間で妥協点が見出
  せず、世界中が不安視していましたが、ギリギリのところで債務上限引
  き上げの合意がなされ、ひとまずは事なきを得ました。

  ただ、これに伴ってアメリカの格付け機関S&P社(スタンダード&プアー
  ズ社)が、アメリカの長期信用格付けを最上級のトリプルA「AAA」から
  ダブルAプラス「AA+」に一段階引き下げ、これによりアメリカは、格付
  け開始以来70年間守り続けてきた最上級の格付けである「AAA」を初め
  て失いました。格下げの理由としては、米国の政策決定や政治制度の実
  効性、安定性、予見可能性が弱まっているなどの政治の問題点が挙げら
  れています。アメリカ国内では、格下げに伴う現実的な影響は少ないも
  のの、やはり心理的なダメージは大きかったと感じます。むしろ、現実
  的な影響という面で考えてみると、アメリカ国債を多く保有している日
  本や中国の方がリスクは大きいのではないでしょうか。それにしても、
  日本の長期信用格付けの見通しは「ネガティブ(弱含み)」にもかかわ
  らず円は強い。その意味では、こうした信用格付けが信用性には多少な
  りとも疑問を感じたりもしますね(笑)。

  最後になりますが、ウォール街の占拠も2011年の大きなニュースです。
  9月から始まったウォール街の抗議行動は全米に広がりました。
  「社会の富が1%の富裕層に独占されていて、残りの99%の国民は苦し
  い生活を送っている。1%の富裕層にしか富をもたらしていないウォー
  ル街を占拠して、革命を起こそう!」という考え方、そして、アメリカ
  国内の長引く高失業率、格差社会へのいらだちや不満が引き起こしたデ
  モと言えるでしょう。
  共和党のブッシュから、民主党のオバマへと政権交代した時は、必ずや
  アメリカは変わる(Change)、変われる(Yes We Can)と国民は期待を
  寄せましたが、現実は厳しく、社会は一向に変わりませんでした。それ
  によって頼るべきリーダー、政党さえなくなってしまったという空虚感
  や、これからのアメリカ社会に対する危機感が生まれたことも、今回の
  デモの要因の一つになったのではないでしょうか。

  また、ツイッターやSNSでデモへの参加を呼び掛けるとともに、スマー
  トフォンを使ってデモ行進や集会の様子をライブ中継するなど、インタ
  ーネットを活用して抗議活動のうねりを拡大させていったという点につ
  いては、とても「今らしさ」が表れていると感じましたね。


 ◇編集部◇
  一方、中国では、この1年を振り返って、どのようなニュースが特に印
  象に残りましたか。


 ◆人事コンサルタント(中国)◆
  最初に挙げられるのは、中国国内における社会保険の改革です。
  例えば、7月1日に「社会保険法」が、10月15日にも「中国国内で就業す
  る外国人の社会保険加入に関する暫定弁法」が施行されましたが、これ
  らは経済的に大きな変革期を迎えた中国を象徴する改革だと感じていま
  す。改革の中身としては、まだまだ差別的な実態は残っているなど、改
  善の余地も多々ありますが、少なくとも私が赴任してきた2003年当時か
  らは考えられないほど大きく改革されています。

  例えば、上海市で働く現地スタッフの社会保険について考えてみますと、
  上海市にはこれまで3種類の社会保険が存在していました。これが今回
  の「社会保険法」施行に伴い、そのうちの2つ、上海市郊外の指定エリ
  アに所在する企業にのみ認められた保険である「小城鎮保険」や「総合
  保険」が実質的に廃止され、個人負担分が上乗せされるなど、保険料が
  大幅に引き上げられる結果となりました。これに伴う人件費増に悩む企
  業が出てきている状況を考えると、「生産拠点としての上海、あるいは
  中国」が終わりを告げたとも言えるのではないかと思っています。

  また、食料品を中心とした生活必需品の物価高が1年以上も継続してい
  ることも大きな問題です。「ひと月3,000元あれば、普通の生活が送れ
  る」というのは、今や完全に昔話です。こうした状況に気付いていない
  企業や気付いていても何もアクションを起こさない企業は、スタッフの、
  会社に対する愛着や忠誠心が低下し、結果的に企業にとって最も重要と
  言える人材の育成や定着もうまく進まず成長がストップ、衰退へという
  可能性も十分に考えられます。そのような事態を避けるためにも経営者
  や人事ご担当の方々には、スタッフの生活環境を視野に入れて待遇面を
  整備するという意識も必要になってきていると感じます。

  最後に、重症の2歳児の横を18人の通行人が見て見ぬふりし、結果的に
  児童が亡くなってしまった事件を挙げたいと思います。同じ年頃の子供
  を持つ親ならば、見ていられない程の衝撃的な事件だったと思います。
  インターネットの世界では、素通りした18人はもちろんのこと、発展を
  続ける一方で、鉄道事故などの対応を巡って国際社会から人命軽視と批
  判される「薄情な」中国社会自体への非難も非常に数多くありました。

  とはいえ、その裏で、人助けをした人が、助けた人から言いがかりを受
  けて裁判を起こされ、あろうことか敗訴するといった事件が頻発してい
  たという中国の社会背景も、少女を見過ごした人々の対応に少なからず
  影響を与えたのではないかと思います。いずれにしても、今回の事件で
  問題となった道徳心を含め、様々な価値観が社会全体に存在するという
  点では、中国社会そのものの変革期を強く印象付ける事件だったと感じ
  ます。


 ◇編集部◇
  法律が変わり、物価が変わり、さらに人々の価値観も多様化する。その
  中身や国際的な評価などは別にして、至る所で激しく、そしてスピーデ
  ィーに変化を続けているところが、今の中国という国の勢いを如実に表
  していると感じます。恐らく、この流れは来年以降も、しばらく続きそ
  うですね。

  では、最後になりますが、両国の来年の展望や見通しについて簡単にコ
  メントをいただけますでしょうか。


 ◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
  アメリカについては、長期化する円高により日本から現地への投資、つ
  まり工場や拠点のアメリカ進出などの動きがこれまで以上に加速するの
  ではないかと思います。この流れを受け、アメリカへ進出する日系企業
  の人事課題解決をサポートする私たちのような、日系企業向けサービス
  を手掛ける企業については、好況感が出てくるのではないかと考えてい
  ます。


 ◆人事コンサルタント(中国)◆
  2012年は、中国国家主席交代の年になります。この国家的なイベントを
  通して、大きな変革を迎えた中国の次の方向性が明らかになってくるで
  しょう。今年の印象に残ったニュースにも挙げました、法律や国民の生
  活、価値観など、近年の急激な発展によって、至る所で発生している
  「ひずみ」に対して、どのようなケアを施し、ソフトランディングさせ
  ていくのか。それらの諸問題を含め、これから5年先、10年先の中国の
  動向を占う意味でも、非常に重要な1年になるのではないかと感じてい
  ます。

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 【3】人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
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 日々、人事・労務問題で頭を抱えているご担当者様に朗報。
 クイックグループが開催するセミナー・イベント情報をご紹介。
 興味、関心の高いセミナーがございましたら、今すぐお申込を!

 ■2012年1月18日(水)17:00~18:00

  第12回 新卒採用担当様向けの新たな情報収集・交換の場
  【クイックラウンジ】
  『新卒採用、マンパワーがない中でどんな工夫をしていく?』

  ◇内容  今回は新卒採用を1~2名と非常に少ないマンパワーの中で
       企画・運営されている人事のご担当者様同士で情報交換を
       いたします。
  ◇会場  株式会社クイック リクルーティング事業本部 東京営業部
        東京都港区赤坂1-9-20 第16 興和ビル北館8F
       (銀座線・南北線「溜池山王」駅A9 出口より徒歩5分)
  ◇参加料 無料(コーヒー、お菓子をご用意してお待ちしています)
  ◇対象  新卒採用を1~2名で担当している人事のご担当者様
  ◇定員  6名

  詳細は、セミナー事務局
      (TEL:03-5573-9191 E-mail:seminar@919.jp)まで


 ■2012年1月23日(月) 10:00~11:30

  『長期に繁栄している会社の人財育成のコツ』  
  ~クイック・イノベーションクラブのご紹介~

  ◇会場  株式会社クイック 大阪本社 セミナールーム
       (大阪市北区小松原町2-4 大阪富国生命ビル16階)
  ◇参加料 無料
  ◇対象  中小企業の経営者様、人事責任者様

  詳細はこちら⇒
  http://happy.919.jp/documents/201201-03seminar_osaka.pdf


 ■2012年1月23日(月) 13:15~15:30

  『採用活動におけるFacebookのコツ』
  『適性検査とは?CUBICとは?』

  ◇会場  株式会社クイック 大阪本社 セミナールーム
       (大阪市北区小松原町2-4 大阪富国生命ビル16階)
  ◇参加料 無料
  ◇対象  経営者様、人事責任者様

  詳細はこちら⇒
  http://happy.919.jp/documents/201201-03seminar_osaka.pdf


 ■2012年1月23日(月) 16:00~17:00

  『医療・介護従事者さま向け 適性検査・組織診断セミナー』

  ◇会場  株式会社クイック 大阪本社 セミナールーム
       (大阪市北区小松原町2-4 大阪富国生命ビル16階)
  ◇参加料 無料
  ◇対象  医療・介護事業の経営者様、人事責任者様

  詳細はこちら⇒
  http://happy.919.jp/documents/201201-03seminar_osaka.pdf


 ■2012年1月26日(木)15:00 ~ 17:00(14:45 開場)

  適性検査「CUBIC」解体新書

  ◇内容  ●適性検査を行う意義とは?
        ~人材の「見える化」で人と組織のベストマッチを実現~
       ●3500 社が導入している適性検査「CUBIC」の特徴 
       ●CUBIC 活用事例
  ◇会場  株式会社クイック リクルーティング事業本部 東京営業部
       東京都港区赤坂1-9-20 第16 興和ビル北館8F
       (銀座線・南北線「溜池山王」駅A9 出口より徒歩5分)
  ◇参加料 無料 ※CUBIC 無料トライアル付き
  ◇対象  経営者の方・採用ご責任者様・ご担当者様

  詳細はこちら⇒
  http://happy.919.jp/documents/CUBIC0126-0209.pdf


 ■【大阪会場】2012年2月8日(水) 15:30~18:00
  【東京会場】2012年2月9日(木) 13:00~15:30

  採用選考 実践Q&A~CUBIC の活用事例を中心に~

  ◇内容  ●「採用したい人材=選考基準」ではない
        自社はどのような人材を採用すべきなのか? 
        企業の現状を踏まえた人物像策定方法
       ●求める人物像を選考基準化する上でのCUBIC の“使い方”
       ●CUBIC と面接との関係(機能分担) 
       ●グループ面接の問題点
       ※上記以外にもご利用いただく上での疑問にお答えします
  ◇会場  【大阪会場】
       株式会社クイック 大阪本社 セミナールーム
       (大阪市北区小松原町2-4 大阪富国生命ビル16階)
       【東京会場】
       株式会社クイック リクルーティング事業本部 東京営業部
       東京都港区赤坂1-9-20 第16 興和ビル北館8F
  ◇参加料 無料
  ◇対象  CUBIC ユーザー企業の経営者の方・採用ご責任者様・ご担当者様
       ※ユーザー企業以外の方のご参加も可能です

  詳細はこちら⇒
  【大阪】http://happy.919.jp/documents/201201-03seminar_osaka.pdf
  【東京】http://happy.919.jp/documents/CUBIC0126-0209.pdf

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